26日夜、インド西部の商都ムンバイで、自動小銃や手投げ弾を持った武装集団が中心部の高級ホテルや鉄道駅などを次々と襲う同時多発テロが起き、日本人ビジネスマン1人を含む100人以上が犠牲となった。
《「インド最大の商業都市でのテロ」について英会話》
武装集団は一部のホテルに人質を取って立てこもり、治安部隊との交戦が続いている。
事件後、「デカン・ムジャヒディン(イスラム戦士)」と名乗る組織が犯行声明を出した。
同組織はイスラム過激派とみられるが、過去のテロ事件で名前が出たことがなく実態はわからない。
また、犯人グループを名乗る男が地元テレビ局に電話をかけ、インドで拘束中のムジャヒディンの全員釈放を要求した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
インド政府はこれまで、国内でテロが起きると、隣国パキスタンのイスラム過激派や軍情報機関(ISI)の関与を非難してきた。
しかし昨年あたりからは、インド国内のイスラム過激派によるものとみられるテロも主要都市で相次いでいる。
《「インド国内のイスラム過激派によるテロ事件」に関して英語記事》
人口の約8割をヒンドゥー教徒が占めるインド社会では、少数派のイスラム教徒は一般的に差別され、貧困層が多い。
近年の経済繁栄の恩恵も受けられず、疎外感を強めている。
[「インド社会におけるイスラム教徒の現実」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
その不満がテロという形で爆発することが多くなったとみられている。
だが今回はこれまでとはいくつかの点で異なる。
少なくとも10カ所の場所をほぼ同時に襲撃したことや、外国人が利用する高級ホテルなどを襲って米英人を人質に取ろうとしたことだ。
《「インドのテロの新しい流れ」に関して英語論文》
こうした手口から、「欧米支配への聖戦」を掲げる国際テロ組織アルカイダの影響も指摘されている。
カシミール地方の領有をめぐって長年対立してきたインドとパキスタンの間で和解プロセスが進展する中で、今回の事件が起きたことも注目される。
<英語論説:印パ和解の動き>
今年9月にインドのシン首相とパキスタンのザルダリ大統領が初めて会談、カシミール紛争の和平交渉再開などで合意した。
10月に両政府はテロ対策特別協議を開いて情報を交換した。
こうした対インド融和の動きに対して、パキスタンの軍や情報機関の一部が反発しているとの見方もある。
南アジア情勢が不穏さを増しているのは気になるところだ。
《「最近の南アジア情勢」について英語にて解説》
パキスタンの首都イスラマバードでは9月に高級ホテルで爆破テロが起き、約40人の死者が出た。
27日にはアフガニスタンの首都カブールの米大使館近くで自爆テロがあった。
テロに見舞われたムンバイは、インドの高度成長を象徴する最大の商業都市だ。
[「インドの高度経済成長」を英会話のトピックとして]
ムンバイには中央銀行のインド準備銀行のほか、国内2大証券取引所があり、内外の金融機関も集積している。
日本企業も約100社が事業拠点を構え、約270人の在留邦人がいる。
米金融危機の波及で世界同時不況の懸念が強まる中、インドも経済減速が避けられない情勢だが、経済中枢が標的となった今度のテロはインド経済のさらなる失速を招く恐れがある。
<英会話/ディスカッション:同時テロのインド経済への影響>
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