19日、アフガニスタンの首都カブールで開かれていた緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)は混乱の末ようやく閉幕した。
《「ロヤ・ジルガ」について英語にて解説》
現暫定政権のカルザイ議長が新政権の国家元首に選出され、主要閣僚の人事も承認された。
昨年12月、タリバーン政権崩壊をうけてアフガニスタン各派の代表による会合がドイツのボンで開催された。
各派は和平プロセスに関する合意(ボン合意)に達し、暫定政権を発足させた。
<英語記事:ボン合意の概要>
それを引き継ぐ「移行政権」の骨格を決めるのが今回のロヤ・ジルガの目的だった。
ボン合意に基づく緊急ロヤ・ジルガは11日に始まった。
全国各地から集まった約1500人の代議員が参加した。
ロヤ・ジルガはアフガニスタンの伝統的な意思決定機関で、開催されるのは1977年以来25年ぶりのことだ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
アフガニスタンは多民族国家である。
人口の約40%を占めるのが最大民族のパシュトゥン人で、そのほかにタジク人、ハザラ人、ウズベク人などがいる。
各民族が閣僚ポストをめぐって激しい駆け引きを繰り広げ、容易に譲らなかったため、ロヤ・ジルガは混乱した。
《「各民族による閣僚ポスト争い」について英会話》
新内閣では、暫定政権の主要ポストを独占した北部同盟のタジク人、ファヒーム国防相とアブドラ外相が留任する一方、内相にはタジク人のカヌーニ氏に代わってパシュトゥン人の州知事が起用された。
<英会話/ディスカッション:暫定政権でのタジク系への権力集中>
新設の副大統領職はパシュトゥン、タジク、ハザラの3民族で分け合うことになった。
少数派タジク人中心の北部同盟に権力が集中していた暫定政権に比べて、民族的にバランスのとれたポスト配分となったといえる。
〔英会話表現による言い換え〕
ロヤ・ジルガの開幕が当初の予定より1日ずれこんだのは、ザヒル・シャー元国王の処遇をめぐる紛糾が原因だ。
元国王は73年のクーデターで国を追われてからイタリアで亡命生活を続け、今年4月に29年ぶりに祖国に戻った。
《「元国王の帰国」に関して英語記事》
結局元国王は国父として象徴的な地位に就くことで折り合いがついた。
閣僚人事をめぐる調整に米国や国連が舞台裏で関与したことに対しては、アフガニスタン国内から内政干渉との強い反発も出ているが、閣僚人事に抵抗するタジク人勢力を最終的に譲歩させたのも米国や国連の強い圧力だ。
[「人事への米国や国連の関与」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
それがなかったらロヤ・ジルガの混乱はもっと大きくなっていただろう。
主要国の支持が後ろ盾となっているカルザイ氏は、アフガン国内に多くの不安要素を抱えている。
カルザイ政権の支配が及ぶのは首都とその周辺だけで、地方には軍閥や有力部族勢力が割拠し、勢力争いがくすぶる。
今後45億ドルを超える「復興支援」をめぐる利権を争って各勢力の対立が激化するとみられる。
<英会話:アフガンへの巨額の復興支援>
カルザイ新政権の前途は多難なものになりそうだ。
移行政権は18カ月以内に新憲法制定のためのロヤ・ジルガを召集し、2年以内に議会選挙を実施して国民を完全に代表する本格政権の樹立を目指す。
《「アフガンの政治日程」について英語記事》
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