2日から3日にかけて、大型サイクロン「ナルギス」がミャンマーを襲い、南部のイラワジ川河口のデルタ地帯が暴風雨と3メートルを超す高潮で水没した。
《「サイクロンと台風」について英会話》
先月27日にベンガル湾の中央部に発生したサイクロンはしばらく停滞した後、30日午後から東進しながら勢力を増し、今月2日の12時頃にイラワジ川の河口付近に上陸した。
<英語にて解説:ベンガル湾に発生するサイクロンの進路>
上陸後、ミャンマー南部を横断し、最大の経済都市ヤンゴンを直撃した。
犠牲者や被災者の正確な数字はいまだに把握されていないが、7日夜の国営テレビによると、死者は約2万2千人、行方不明者は約4万2千人に達する。
ミャンマー駐在の米臨時代理大使は死者数が10万人を超す可能性があると述べた。
国連はおよそ100万人が家屋を失ったとみている。
サイクロンによる災害としては、約14万人の死者を出した1991年のバングラデシュでの被害に匹敵する大惨事になることは確実だ。
《「バングラデシュでのサイクロン災害」に関して英語記事》
最大の被災地となったエヤワディ管区やヤンゴンでは、交通や通信は寸断され、停電や断水が続いている。
〔英会話表現による言い換え〕
住民の多くは十分な食料と清潔な飲料水を確保できていない。
マラリアなど伝染病の流行も懸念される状況だ。
欧米は、軍事政権による民主化運動弾圧を批判して、ミャンマーに経済制裁を加えてきた。
[「ミャンマーでの民主化弾圧」を英会話のトピックとして]
だが今は一刻を争う時だ。
世界食糧計画(WFP)など国連機関は無論、タイ、インド、中国といった周辺国だけでなく、欧州連合(EU)や米国、日本なども緊急援助を申し出ている。
しかし、軍事政権の対応は理解に苦しむ。
5日になって、国際的な人道援助を歓迎すると表明した。
しかし、食糧やテントなどの救援物資は受け取っているものの、援助隊や医療チームなど人的支援の受け入れは一部を除き拒否したままだ。
《「人的支援受け入れ拒否の背景」について英会話/ディスカッション》
入国ビザの発給もスムーズでなく、現地入りをめざす国連職員らが足止めを食っているという。
また、大災害では機動力のある軍の救助活動が効果的だが、軍事政権は外国の軍隊の入国を拒否している。
被害の実情や救援の不手際などが外部に明らかになるのを恐れているのだろうか。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
科学技術の進歩により、サイクロンの襲来は気象観測による予測が可能だ。
インド気象庁は上陸の48時間前にミャンマー当局に警告していたという。
しかし、住民に適切な警報や避難勧告が出されていなかった可能性が高いと国連の防災関係者が指摘している。
軍事政権が対策を怠ったことが被害を深刻なものにした面もあるようだ。
<英語論説:軍事政権の災害対策軽視>
軍事政権は、権力を維持するためとの批判がある新憲法草案の是非を問う国民投票を10日に予定している。
被災地では実施を延期することにしたが、その他の地域では予定通り強行する構えだ。
[「国民投票の強行実施」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
軍事政権に今求められるのは、国連の勧めに従って、国際社会の支援に門戸を開き、被災者救援を優先することだ。
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