11日、イラン政府は3.5%の低濃縮ウランの製造に成功したと発表、アフマディネジャド大統領は同国が核技術保有国の一員になったと宣言した。
<英語にて解説:低濃縮ウラン>
米欧はイランが核兵器の製造技術の獲得に一歩前進したと危機感を強めている。
世界有数の産油国イランをめぐる国際情勢の緊迫化が原油相場の高騰につながることも懸念されている。
ウラン濃縮成功の発表は、13日にも予定される国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長のイラン訪問直前に行われた。
《「IAEA事務局長のイラン訪問の目的」について英語記事》
イランとしては、訪問前に既成事実を作り、国際社会に核開発計画を認めるよう譲歩を迫る狙いがあったのだろう。
イランのウラン濃縮はまだ初期の段階にあり、核兵器に使われる高濃縮ウラン製造までにはなお時間がかかるとみられ、軍事転用の危険性が切迫しているとはいえない。
[「ウラン濃縮と核兵器製造」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
米国がイランの核施設を空爆する計画を検討中との報道もあったが、ブッシュ大統領は即座に否定、現時点では外交交渉によって対応する方針だ。
イランの核兵器開発疑惑が表面化したのは2002年。
イランの反体制組織や米国によって秘密の核施設の存在が指摘され、パキスタンのカーン博士が築いた「核の闇市場」からウラン濃縮に使う遠心分離器などの部品と技術の提供を受けていたことも判明、疑いが一挙に高まった。
<英語論説:カーン博士の「核の闇市場」>
イランはIAEAに対し、核兵器開発を否定し、03年には英独仏との交渉でウラン濃縮活動の停止に合意した。
しかし、05年の8月に保守強硬派のアフマディネジャド大統領が就任すると、中部イスファハンでウラン転換作業を再開し、英独仏との交渉は事実上決裂した。
《「保守強硬派大統領の登場」について英会話》
イランは今年1月から中部ナタンツの濃縮施設でウラン濃縮活動を再開、3月に遠心分離器164基を連結させた「カスケード」と呼ばれる濃縮装置を設置した。
IAEAから対応を委ねられた安保理は3月29日、30日以内にウラン濃縮を含む核開発活動の停止を求める議長声明を採択した。
[「IAEAから安保理への付託」を英会話/ディベートのテーマとして]
今回イランは安保理の停止要求を振り切る形で核開発を続ける強硬姿勢を示し、米欧との対決色を鮮明にした。
<英語表現の工夫:対決色を鮮明にする>
今後は産業的規模の濃縮ウラン製造に向けて、遠心分離器を3千基に増やす予定だという。
米政府は、英仏中ロの国連安保理の常任理事国およびドイツと今後の対応を協議する見通しだ。
議長声明から一歩踏み込んで制裁論議に進む可能性があるが、その場合、各国の経済利害も絡み、協議は難航することが予想される。
《「対イラン制裁決議の可能性」について英会話/ディスカッション》
外交的解決に向け知恵を絞るべきではないか。
アフマディネジャド大統領は改めて核兵器を製造・保有する意図を否定したが、国連を無視する態度を続け、国際的な信頼を欠いたまま核開発計画を強行している。
これではいくら核の平和利用の権利を主張しても国際社会の理解は得られない。
イランは信頼醸成に努めるべきである。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
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