15日、1947年に制定されて以来、一度も変更を加えられることのなかった教育基本法の全面改正案が、参議院本会議で与党の賛成多数で可決され、成立した。
<英語にて解説:教育基本法の概要>
安倍首相が今国会の最優先課題と位置づけた改正教育基本法の成立は、自らが掲げる「戦後レジームからの脱却」の第一歩となった。
現行法と比べて大きく変わったのは、「個」の尊重から「公」の重視へという根本理念の転換である。
[「「公」の重視への転換」を英会話/ディベートのテーマとして]
現行法の前文にある「個人の尊厳を重んじ」という文言は改正法にも引き継がれたが、それに「公共の精神を尊び」という文言が加わった。
現行法で「個」の尊重が重ねて強調されているのは、戦前の「国家のための教育」に対する反省からだ。
これに対して保守層は戦後社会の「行き過ぎた個人主義」を批判し、現行法に対し「個人の権利尊重に偏りすぎている」と改正を求めていた。
<英会話/ディスカッション:保守層による個人主義批判>
国会の審議で、特に議論の焦点となったのが「愛国心」である。
改正法では「教育の目標」の条文に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という文言が盛り込まれた。
この表現をめぐっては改正反対派から「法律で教育目標と定めれば、国を愛するという自然な気持ちを強制することになりかねない」との批判が相次いだ。
《「愛国心教育」について英会話》
とりわけ、愛国心を通知表で評価することになるのではないかと心配する声が強い。
首相は「日本の伝統と文化を学ぶ姿勢や態度は評価対象とする」と明言している。
教育現場に与える影響は小さくないとみられる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
国家の教育への介入という問題も大きな論点となった。
現行法は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と定めている。
この「不当な支配」とはだれのどういった行為を指すのかは、法廷闘争にもなってきた。
《「「不当な支配」をめぐる法廷闘争」に関して英語記事》
教職員組合や教育学者の多くは、この規定を教育内容に対する国や行政の介入を抑制的にするものと位置づけてきた。
今回、この条文の後半が「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と改められた。
これには、法律に基づいた教育行政の介入が無制限に許容される恐れがあるとの指摘がなされている。
[「教育行政の介入強化に対する懸念」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
新たに設けられた「教育振興基本計画」の条文についても、かねてから批判のある中央集権的な教育行政の強化につながることを懸念する声がある。
<英語論説:教育振興基本計画の問題点>
改正法は政府に「教育振興基本計画」の策定を義務づけており、地方自治体は政府の計画を参考に自らの計画を定めると記している。
運用次第では、現場を拘束することにもなりかねない。
今国会で民主党は独自の対案を提出していた。
本来なら、与党と民主党が協議して、共同修正を図るべきだったのではないか。
長期間の審議の中で与野党の歩み寄りが全く見られなかったことは残念でならない。
〔英会話表現による言い換え〕
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