12日、07年のノーベル平和賞が、米国の前副大統領のアル・ゴア氏と国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」に贈られることになった。
受賞は、両者が「人為的に起こる地球温暖化の認知を高めた」ことを高く評価したものだ。
環境分野でのノーベル平和賞受賞は、04年のケニアの環境活動家ワンガリ・マータイさんに続くものだ。
《「過去のノーベル平和賞受賞者」について英会話》
国際社会では現在、地球温暖化は戦争と同じように世界の平和を脅かすものだとの認識が強まっており、気候変動を安全保障の視点から捉える考え方が「気候の安全保障」という言葉とともに広まっている。
[「気候の安全保障という考え方」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
温暖化による異常気象や海面上昇は人々の生活基盤を奪い、大量の難民を生み出し、地域紛争や内戦の要因にもなりうるからだ。
今年は、温暖化対策が国際政治の場でも最重要課題として位置づけられるようになった年である。
4月には国連の安全保障理事会で初めて気候変動が英国主導の下で討議テーマに取り上げられた。
先月には国連の事務総長の呼びかけで、気候変動を首脳レベルで話し合う会合も開催されたばかりだ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ゴア氏にとって温暖化問題への取り組みは40年に及ぶライフワークだ。
<英語記事:ゴア氏の温暖化問題への取り組み>
ハーバード大学在学中に、授業で大気中の二酸化炭素濃度の上昇を示すデータを目にしたときの驚きが原点にある。
議員に初当選して最初の大仕事は、米議会で温暖化に関する公聴会を開くことだった。
クリントン政権の副大統領時代も、97年の温暖化防止京都会議に乗り込み、暗礁に乗り上げていた交渉を合意に導いた。
00年の大統領選で敗れた後は、温暖化防止を訴える講演で全米や世界各地を行脚した。
ゴア氏の啓蒙活動を記録した映画「不都合な真実」は、この問題への世界的な関心を高め、07年アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。
[「映画「不都合な真実」のヒット」を英会話のトピックとして]
クリントン・ゴア民主党政権は京都議定書採択に賛成したが、ブッシュ共和党政権は議定書から離脱した。
《「米国の京都議定書からの離脱」について英会話/ディベート》
ゴア氏の平和賞受賞は温暖化対策に消極的だったブッシュ政権に方針転換を求める圧力になるだろう。
IPCCは130カ国を超える4千人以上の科学者らが参加し、88年の成立以来、最新の研究成果をもとにほぼ5年ごとに報告書を発表してきた。
報告書は温暖化をめぐる国際交渉や政策の科学的根拠として大きな影響力を持つ。
<英語にて解説:IPCCの影響力>
今年の第4次報告書で、温暖化は人間活動が原因だとする研究成果を公表した。
これは「人間による温暖化は本当か」「温暖化は一時的な自然変動にすぎない」といった懐疑論を一蹴することになり、温暖化対策を求める声が一段と高まった。
[「温暖化に対する懐疑論」を英語論説のテーマとして]
ノーベル賞授賞式は12月10日にノルウェーの首都オスロで開かれる。
その同時期にインドネシア・バリで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)が開かれ、「ポスト京都」をめぐる国際交渉が本格化する。
《「「ポスト京都」をめぐる国際交渉の行方」に関して英会話/ディスカッション》
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