9日、中国の首都北京で、日本の国連安全保障理事会常任理事国入り反対や歴史教科書への不満を訴える大規模な反日デモが行われた。
《「日本の国連安保理常任理事国入り問題」に関して英語記事》
2日の四川省成都、3日の広東省深センに続くもので、さらに全国に波及する恐れもある。
この日のデモは「中国のシリコンバレー」といわれる北京市北西部の中関村で始まった。
当初は2千〜3千人ほどだったデモ隊は1万人規模に拡大、暴徒化した参加者が日本企業の看板や日本料理店などを壊した。
夕方にはデモ隊の一部が日本大使館に向かい、大使館と公邸が投石によって窓ガラスを割られる事態となった。
《「デモ隊の破壊行為」について英会話》
1週間前の成都でのデモで日系スーパーマーケットに被害が出たことから、日本政府は中国側に再発防止を要請したばかりである。
今回の北京でのデモは、主催者である反日運動の団体が数日前からインターネットの掲示板などを通じて参加を呼びかけていた。
にもかかわらず、十分な対策がとられていなかった。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
また、現場のテレビ映像からも明らかなように、日本大使館の警備にあたっていた大勢の警官隊が、目の前で行われる投石行為を制止しようとはせず、黙認していた。
[「投石行為の黙認」を英会話のトピックとして]
中国当局側に、過激化するデモを積極的に抑えようという意思はなかったといってよいのではないか。
今の中国社会は貧富の差が大きく開き、腐敗などへの不満が高まっている。
中国当局はそのはけ口として反日デモを容認していると日本政府はみているようだ。
[「中国当局の対応」を英会話/ディベートのテーマとして]
中国各地へ広がり始めた大規模な反日デモの根底には、いくつかの要因がある。
これまでもたびたび反日の発火点になってきた日本の歴史認識への不満。
日本の国連常任理事国入り問題を機に顕在化してきた大国意識。
<英会話/ディスカッション:反日デモの背景>
さらに、日本製品の不買運動の背景には競争にさらされる中国企業の不安がある。
中国経済は「世界の工場」として急速に成長してきたが、成長の原動力である輸出の半分以上は日本など外資系企業が担っている。
《「中国経済成長の原動力」について英会話/ディスカッション》
「今や反日運動の一部は商業目的だ」との指摘もある。
ライバルである日本企業にダメージを与えるのに「反日」が利用されているというのだ。
中国国民が日本政府の政策に対して反対意思を表明するデモを行うことは正当なことだ。
しかし、大使館への投石といった破壊行為の「黙認」は国際法に違反する。
外交関係に関するウィーン条約は22条で、「使節団の公館は不可侵」とし、「接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する」と記している。
<英語にて解説:外交関係に関するウィーン条約22条>
確かに歴史認識や領土・領海などをめぐって日中間の対立が先鋭化しているが、これらは話し合いで解決すべき問題である。
日本との意見の対立があるからといって、中国国民の暴力的な反日行動がこれ以上拡大すれば、アジアの大国である中国の対外イメージを大きく損なうことになるだろう。
《「中国の反日デモに関する海外の反応」について英語論説》
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