年金制度改革とイラクでの自衛隊の多国籍軍参加が2大争点となった第20回参議院選挙は11日投開票が行われ、自民党が勝敗ラインとした改選51議席を割り込み49議席に後退したのに対し、民主党は改選38議席に大きく上乗せして50議席を獲得した。
《「選挙予想」に関して英語記事》
共産党は大きく議席を減らし、社民党は低迷した。
自民・公明両党を合わせた与党全体では、非改選と合わせて、国会運営で主導権を握れる絶対安定多数を維持したため、小泉純一郎首相は続投する意向を表明し、9月に内閣改造と党役員人事を実施する考えを明らかにした。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
民主党躍進の要因の一つは、1人しか当選しない選挙区、いわゆる1人区で自民党と互角の戦いを展開したことにある。
1人区は地方に多く、伝統的に保守地盤で自民党に有利とされていた。
ところが今回、民主党は1人区で自民党の地盤を切り崩して獲得議席数を伸ばし、そのことが都市部に強い民主党の勝利に貢献した。
[「1人区での民主党躍進の背景」を英語論説のテーマとして]
一方自民党の苦戦は、重要な政策課題に対する首相の粗雑な政治手法に有権者が反発したからにちがいない。
通常国会で年金改革法案を強行採決し、国会審議を経ずに自衛隊の多国籍軍参加を閣議決定した。
こうしたやり方が、有権者には支持率の高さにあぐらをかいた首相の慢心と見えたのだろう。
<英語表現の工夫:あぐらをかく>
今回の選挙結果を踏まえ政府与党は、国民生活に深く関わる年金問題では、年金改革法を白紙に戻し、抜本的な改革について議論をやり直さなければならない。
〔英会話表現による言い換え〕
憲法問題にも直結する多国籍軍参加問題については、正当な手続きに従って国会審議に諮るべきだ。
今後の政権運営に当たっては、与党内で公明党の発言力が強まることが予想されるが、自民党と公明党の妥協によって政策があいまいになるようなことがあってならない。
《「自公連立の問題点」に関して英会話/ディスカッション》
政府は、重要課題について明確な政策を提示し、実行していくべきだ。
民主党は自民党を上回る議席を獲得したことで、次期衆院選での政権交代に向けて大きく前進したといえるが、そのための課題も見えてきた。
[「政権交代の可能性」を英会話/ディベートのテーマとして]
1つは、議席を増やして政権獲得を目指す上で、無党派層をどうやって取り込むか。
魅力的な候補者の発掘が必要だ。
2つ目は、政権担当能力をいかにアピールできるか。
より説得力のある政策が求められる。
事前の世論調査から懸念された通り、今回の投票率は過去3番目に低かった前回をわずかに上回るにとどまった。
《「投票率の低さ」について英会話》
有権者の間に、政治不信やあきらめムードが広がっているのではないか。政治の責任は重い。
昨秋の衆院選に続き、今回の参院選でも二大政党化の流れが加速した。
<英語論文:二大政党制>
自民・民主の二大政党の議席占有率は82%に達した。
自民党が大敗した1989年の参院選でも、自民と野党第1党の議席占有率は65%だった。
近い将来での政権交代を期待させる時代を迎えたと言っていいだろう。
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