経済産業省原子力安全・保安院は先月29日、東京電力の3つの原子力発電所で、原子炉の自主点検記録に改ざんや虚偽記載などの不正が見つかったと発表した。
《「原子力安全・保安院」について英語にて解説》
ひび割れなどが放置されたまま運転されている恐れのある原子炉もあるという。
東電は1980年代後半から90年代前半にかけて、福島第一、第二(福島県)、柏崎刈羽(新潟県)の3原発の13基で、自主点検の際に原子炉内のシュラウド(炉心隔壁)などの機器にひび割れなど29件のトラブルを見つけながら、記録を改ざんして隠蔽していた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
東電は今月2日、事実関係を認め、最高幹部5人の引責辞任を発表した。
今回の原発のトラブル隠しは、原発の安全性に対する国民の信頼を失墜させただけでなく、日本のエネルギー政策にも重大な影響を及ぼすとの懸念も出ている。
《「原発トラブル隠しの影響」に関して英会話/ディスカッション》
大手企業の不祥事が続き、企業倫理が厳しく問われている最中に、電力業界だけでなく、日本を代表する企業である東電が不正事件を起こしたことで、日本企業への信頼をも揺るがせることになったといえるだろう。
<英語記事:大手企業の不祥事>
発覚のきっかけは、一昨年7月、東電が点検を委託したゼネラル・エレクトリック・インターナショナル(GEII)の元社員から不正を告発する文書が旧通産省に届いたことだった。
国は内部告発を受けてから2年間も有効な手段を取れず放置してきたことになる。
《「内部告発」について英会話》
東電が社内委員会を発足させ、調査を開始したのは今年の5月になってからだ。
保安院も東電も事態を軽く見ていたと言われても仕方あるまい。
東電がトラブル隠しを行った理由の一つとして、原発の運転停止による経済的損失を避けたかったからだともいわれている。
[「原発の安全性と経済性」を英語論文のテーマとして]
しかし、安全性への懸念が指摘されている原発を抱える企業に国民が何よりも求めているのは、安全性を最優先する姿勢ではないか。
原発を推進する経産省の下に安全規制を担う保安院を置くこと自体に大きな問題があると指摘する声もある。
独立性の確保がチェック機関には不可欠だ。
《「保安院の独立性」に関して英会話/ディベート》
原発の安全性を監視する機能を強化するためには、保安院の経産省からの分離・独立も検討すべきであろう。
核燃料リサイクル政策の柱であるプルサーマル計画は、実現が危ぶまれる事態にもなりそうだ。
<英語論説:プルサーマル計画の進展状況>
安全確保への信頼が完全に失われてしまった以上、地元住民や関係自治体の理解や協力は得られまい。
「今後国の原子力政策にはいっさい協力できない」と怒りをあらわにする自治体も出てきた。
最先端の技術を駆使して原子力の安全を確保し、その安全性に対して国民から信頼を得られるようにすることこそ、原発推進を国策に掲げる政府の責任であり、原子力事業者の責任である。
[「原発の信頼回復」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
そのためには原発の安全性を強調するだけではなく、その危険性も含めて、すべての情報を細大漏らさず公開しなければならない。
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