東京地裁は28日、薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長に対し、禁固1年、執行猶予2年(求刑・禁固3年)の有罪判決を言い渡した。
《「過去の薬害事件」について英会話》
判決は、エイズウイルス(HIV)汚染の危険性が高い輸入非加熱血液製剤の回収や販売中止を製薬会社に命じるなどの措置を講じなかったとして、刑法上の注意義務違反を認めたものだ。
行政上の「不作為」について、官僚個人の刑事責任を日本の裁判史上初めて認めた画期的な判決として評価したい。
[「今回の判決の意義」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
1980年代、血友病患者の治療として使われていた非加熱血液製剤の中に、HIVが混入していたため、世界各地で多くのHIV感染が報告された。
<英語にて解説:血友病の治療>
日本では1800人以上が感染し、少なくとも500人が死亡したとされている。
血液製剤とは、人間の血液成分を原料として作られる薬品のことだ。
《「血液製剤の歴史」に関して英語論説》
加熱処理を行ってウィルスを不活性化した血液製剤が登場するまでは、加熱処理をしないままの血液製剤が使われていた。
薬害エイズ事件は、非加熱血液製剤を輸入販売した製薬会社、投与した医師、販売を放置した厚生省の3者による「複合過失」が原因だといわれ、検察は1996年に関係者を逮捕、起訴した。
<英語表現の工夫:複合過失>
これまでに製薬会社のトップが実刑判決(大阪地裁)、自らも投与にかかわった血友病治療の権威とされる医師は無罪判決(東京地裁)を受けている。
判決によれば、被告は、85年12月により安全な加熱血液製剤が承認され、その必要量が供給可能となった時点で、製薬会社に非加熱製剤の販売中止や回収を行わせたり、医師に非加熱製剤の投与を差し控えさせたりする義務があったのに、これを怠った。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
日本では1960年代から70年代にかけて、サリドマイド、スモン、クロロキンなど行政の不作為による薬害事件が繰り返されたが、いずれも官僚の刑事責任が問われることはなかった。
政策判断のミスによって生じた被害については、民事上の国家賠償責任は生じても、政策判断は個人ではなく組織として行われるという考え方があるため、行政組織における官僚個人の刑事責任まで問うのは難しいとされてきた。
[「官僚個人の法的責任」を英会話/ディベートのテーマとして]
国民の生命にかかわる行政担当者の責任の重さを厳しくとらえた今回の判決の意義は大きい。
政策判断の責任の所在をあいまいにし、個人の法的責任を不問にする官僚機構のあり方を根本から問うものといえるだろう。
《「官僚機構における責任の所在」に関して英会話/ディスカッション》
今国民の不安が高まっている狂牛病をめぐる農水省の無責任な対応からは、薬害エイズと同じ不作為の構図が垣間見えてくる。
農水省もまた、狂牛病の感染源とみられる肉骨粉の流通の規制措置が遅れた。
国民の命と健康を預かる省庁には、行政の対応次第では取り返しのつかない事態が引き起こされかねない現実をかみしめてもらいたい。
〔英会話表現による言い換え〕
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