11月7日に投票が行われた米国の大統領選挙は、予想をはるかに上回る激戦の末、ブッシュ・テキサス州知事がゴア副大統領を破って勝利を収めた。
共和党からの大統領誕生は8年ぶりで、同時に行われた議会選挙でも共和党が上下両院で優位を保った。
[「共和党の大統領誕生」を英会話のトピックとして]
投票日前から,今回の選挙は接戦が予想されていた。
8月の民主・共和両党の各党大会後、両候補は世論調査での支持率でデッド・ヒートを繰り広げた。
もともと有利と言われていたゴア候補が苦戦を強いられたのは、クリントン大統領のスキャンダルによる面もあったと考えられる。
<英語記事:ゴア候補苦戦の原因>
米国の大統領選は、形式的には選挙人制度による間接選挙である。
《「選挙人制度」について英語にて解説》
各候補は州ごとに選挙人の獲得数を争い、全米総数538人の過半数270人を獲得した候補が当選する。
選挙人の選出方法は、大半の州が過半数の得票を得た候補がその州の選挙人全員を獲得するという「勝者総取り方式」を採用している。
開票が始まると両候補は大接戦を展開し、大統領選の行方はフロリダ州の帰趨によって左右されることとなった。
〔英会話表現による言い換え〕
同州は選挙戦当初から激戦区と見られていたが、9日の非公式集計でブッシュ候補が僅差のリードとなった。
フロリダ州では得票数が僅差の場合、再集計を行う規定がある。
その規定に従い、州内の各郡で再集計が実施されることになったが、その方法をめぐって、手作業による再集計を求めるゴア陣営と、機械による再集計を主張するブッシュ陣営との間で対立が起こり、訴訟合戦に発展した。
<英語論説:アメリカの投開票システムの欠陥>
最終的に、今月12日に連邦最高裁が、フロリダ州最高裁が認めた手集計を違憲と判断し、州最高裁への差し戻しを決定したことによって訴訟合戦は終了した。
翌日、ゴア候補は敗北宣言を出し、投票日から1ヶ月以上を経てブッシュ候補の勝利が確定した。
米国史上初めて、連邦最高裁の判決が大統領選の勝敗を決定することになった。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
フロリダ州での集計結果をめぐる混乱を「民主主義の危機」と見る向きもあるようだが、果たしてそうだろうか。
[「集計結果をめぐる混乱」を英会話/ディベートのテーマとして]
繰り返される訴訟は、選挙結果に疑義が生じたら、法廷で徹底的に争うことができることを示した。
その意味で今回の事態は、むしろ民主主義が機能したと捉えるべきだ。
それとは別に、今回の大統領選の過程で、選挙制度上の問題点がいくつか浮上してきた。
その一つが「勝者総取り方式」の問題だ。
<英会話/ディスカッション:勝者総取り方式の問題点>
ゴア候補は一般投票の総得票数ではブッシュ候補の得票数を50万票上回ったが、選挙人獲得数で負けて落選することになったため、有権者の意思が反映されなかったとの批判が出た。
選挙人制度自体の改革を求める声もある。
《「選挙人制度の改革」に関して英語論文》
同制度が発足した時代は、交通・通信が未発達で、一般国民への不信が拭えない時代でもあった。
その後の社会経済や民主主義の発展を考えれば,選挙人制度の見直し論議が起きるのも当然のことと言えるだろう。
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