農水省は10日、千葉県の酪農場で狂牛病の疑いのある乳牛1頭を発見したと発表した。
8月6日にこの乳牛が狂牛病に似た症状を示したため、動物衛生研究所が検査したところ、15日に陰性反応が出た。
《「狂牛病の症状」について英語にて解説》
しかし、採取した脳のスポンジ状態を確認したことから、同研究所が9月6日、異なる方法で再検査した結果、10日に陽性反応が出た。
さらに農水省は、牛の検体を英国の獣医学研究所に送って検査を依頼したところ、22日、陽性の報告が届いた。
これを受け同省は23日、問題の乳牛の狂牛病感染を確認したと発表した。
国内で狂牛病の発生が確認されたのは初めてのことだ。
[「国内初の狂牛病の波紋」を英会話のトピックとして]
狂牛病は1986年に英国で初めて見つかった牛の病気で、脳の組織がスポンジ状になることから正式には「牛海綿状脳症」(BSE)という。
原因は、「プリオン」というたんぱく質の異常とされている。
《「BSEの原因」に関して英語論文》
異常プリオンに感染すると、体内にある正常型が異常型に変化して発症する。
2〜8年の潜伏期間の後、起立不能などの神経症状が現れ、発病後2週間から6ヶ月で死に至る。
96年になって、狂牛病が人にも感染する可能性があると英国政府が発表した。
[「狂牛病の人への感染」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
狂牛病の感染ルートは特定されていないが、牛や豚、鶏など食用動物から食肉となる部分を取った後の脳や内臓、骨などを粉末加工した動物性飼料(肉骨粉)が有力だ。
<英語論説:肉骨粉による感染>
狂牛病に感染した牛の異常プリオンが混ざった肉骨粉を通じて、狂牛病が広がっていったと考えられている。
農水省は96年4月以降、狂牛病の感染源とされる肉骨粉を牛の飼料に混ぜないように行政指導してきた。
しかし、この措置が指導にとどまっていたため、全国各地で肉骨粉が牛に与えられていたことが相次いで判明した。
《「農水省による肉骨粉規制」に関して英会話/ディスカッション》
飼料が牛に転用された可能性や製造や流通の過程で牛用の飼料に混入した可能性も指摘されている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ただし、問題の牛が肉骨粉を食べた事実は確認されておらず、感染ルートは依然未解明のままだ。
肉骨粉の輸入の規制も遅れていた。
今年1月に欧州連合(EU)諸国からの輸入を禁止するまで狂牛病発生国からも輸入していた。
<英語記事:肉骨粉の輸入状況>
9月18日、農水省は牛への肉骨粉の使用禁止を「罰則付き」に強化した。
この間、学校給食での牛肉の使用中止といった風評被害が広がった。
《「校給食での牛肉の使用中止」について英会話》
行政の対応のずさんさがその一因である。
農水省は10日、狂牛病の疑いのある牛を焼却処分したと発表していたが、14日になって全面訂正し、肉骨粉に加工されていたことを認めた。
厚生労働省は全国の食肉衛生検査所で、生後30カ月以上の全ての食用牛に精密検査を実施することを決めた。
農水省と厚生労働省には今後、狂牛病に関する正確な情報を逐一消費者に提供することで、一日も早く消費者の不安を取り除いてもらいたい。
[「狂牛病問題における農水省の責任」を英会話/ディベートのテーマとして]
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