臓器移植法改正案(A案)が13日午後の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。
《「改正3案のポイント」について英語にて解説》
1997年の施行から12年ぶりの改正となる。
現行法は3年をメドに見直すはずだったが、たなざらし状態が続き、今回成立した改正案も国会に提出されたのは3年前。
<英語表現の工夫:たなざらし状態>
医療先進国の日本が渡航移植に頼る現状に国会の不作為という批判も出る中、渡航移植を規制しようとする世界保健機構(WHO)などの動きにも影響され、ようやく改正が実現した。
改正法では、本人の意思表示が不明の場合、家族の承諾で臓器提供が可能となる。
現行法は本人の事前の書面による意思表示が前提条件となっている。
このため、意思表示が法的に有効でないとされる15歳未満からの臓器提供はできない。
改正法の施行後は、心臓など小児の脳死移植が国内で可能となる。
《「国内で可能となる小児の心臓移植」に関して英語記事》
意思表示カードの所持率が1割を切る中、本人の意思表示がなくても家族の承諾で臓器提供できるようになれば、脳死移植が増えることも期待される。
[「意思表示カードの所持率の低さ」を英会話のトピックとして]
現行法では脳死移植は年間10件程度。
日本移植学会の推計では、改正案の施行1年目は年70件、3年目は100件に増加すると予想する。
一方で、法改正だけでは脳死移植は増えないとの厳しい見方もある。
救急医療現場では脳死による臓器提供は負担が大きいためで、脳死判定の支援システムなど体制の整備が不可欠だという。
《「救急現場の負担軽減の必要性」について英会話/ディスカッション》
厚生労働省研究班の調査によると、回答してきた541の病院では、脳死状態になった患者の3割程度にしか脳死判定をしていなかった。
A案は脳死を定義した現行法規定から「臓器提供の場合に限る」という趣旨の文言を削除した。
患者団体や移植医から「脳死の定義に臓器提供の条件が含まれると、臓器提供に承諾した家族が患者の「脳死=死」を決定したという思いが残る」という訴えがあったからだ。
だが、A案では移植以外の医療現場でも脳死は一律に人の死と解釈されるとの懸念もくすぶる。
<英会話/ディベート:「脳死は人の死」とする考え>
改正法の成立を受け、厚労省は同日、6歳未満の脳死判定基準を策定するため研究班の設置を決めた。
厚労省が新基準のベースとして想定するのは、99年に旧厚生省研究班がまとめた小児の脳死判定基準だ。
6歳未満の脳は回復力が高いため、2回実施する脳死判定の間隔を成人の4倍に当たる24時間以上としている。
[「小児の脳死判定の難しさ」を英語論文のテーマとして]
改正法を巡る審議では、現行法で臓器提供を承諾した患者家族に対する心理的なサポートが不十分だったことも明らかになった。
[「提供者家族へのケア不足」を英会話のトピックとして]
このため厚労省は、手続きを説明して承諾を得るなど患者家族との調整役である移植コーディネーターを大幅に増員することも検討する。
改正法の施行は公布日から1年後だが、新たに盛り込まれた親族への優先提供は先行して半年後に実施される。
<英会話/ディスカッション:移植機会の公平性>
親族の範囲についてA案の提案者は「1親等並びに配偶者」との考えを示しているが、今後、厚労省の指針で具体的に定める。
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