ノルウェーのノーベル賞委員会は9日、2009年のノーベル平和賞を、米国のバラク・オバマ大統領に授与すると発表した。
《「平和賞の最近の受賞者」について英会話》
受賞理由について「国際外交や人々の協力関係を強化する並外れた努力」を続けたと説明。
特に「オバマ氏が掲げた『核兵器のない世界』に向けた理念と取り組みには特別の重みがある」と強調した。
現職の米大統領の受賞は、最近では極めて異例となる。
過去には、1906年に日露戦争講和を仲介したセオドア・ルーズベルト大統領、1919年に後の国際連盟の設立を提唱したウッドロー・ウィルソン氏がそれぞれ受賞した例がある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
オバマ氏は就任から9カ月足らずで具体的な実績は未知数なだけに、受賞は米国内でも意外との受け止めが多い。
<英会話/ディスカッション:成果が出る前の段階での受賞>
ただノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は記者会見で「受賞によってオバマ氏の努力が前進することにも期待している」と述べた。
受賞を通じて、オバマ氏の政策を後押しする意図があるとみられる。
同委員会はノルウェー議会が任命する委員で構成する独立組織だが、欧州諸国の政治的意向が反映しやすいといわれる。
[「ノーベル平和賞と政治判断」を英会話/ディベートのテーマとして]
今回の受賞は、ブッシュ前政権の単独行動主義を改め、国際協調を重視する姿勢を打ち出したオバマ政権に期待する欧州感情を反映したとの分析もある。
オバマ大統領は4月にチェコのプラハで行った演説で「核兵器のない世界に向けた具体的な措置を取る」と表明。
その後、ロシアとの新たな核軍縮交渉に着手する一方、9月には核問題に関する国連安保理の首脳級会合を主宰し、「核なき世界」を目指す決議を採択に導いた。
《「オバマ大統領が取り組む核軍縮」に関して英語にて解説》
大統領はイスラム世界との対話も進めた。
<英会話:オバマ外交の対話路線>
6月に訪問したカイロで、世界のイスラム教徒に向けて演説し「米国と世界中のイスラム教徒間の新たな始まり」と強調。
アフガニスタン攻撃やイラク戦争で悪化した関係の修復を呼びかけた。
温暖化問題でもオバマ氏は就任前から積極関与を明言し、3月の国連作業部会で国際交渉復帰を宣言した。
[「米国の温暖化交渉復帰」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
米国が01年に京都議定書から離脱して以降8年間、ポスト京都の国際交渉は事実上、米国抜きで進んだ。
世界2位の温暖化ガス排出国の復帰で交渉は活気づいているが、各国の対立構図は続いている。
支持率の低下に悩むオバマ政権は平和賞受賞が支持率のこれ以上の低下に歯止めをかける効果を期待する。
政権発足当初は70%近かった支持率が、最近では50%前後まで下落。
医療保険改革など内政の重要課題への取り組みも受賞を機にテコ入れを図る構えだ。
《「山積みの内政課題」について英語記事》
オバマ政権にとって最大の懸案になりつつあるのが対テロ戦争だ。
就任約1カ月でイラクからの撤退計画を発表する一方、新たな主戦場と定めたアフガンでは情勢が泥沼化。
米軍増派を巡っては、現地司令官と副大統領の間で対立が表面化している。
平和賞受賞の直後に追加増派という選択肢は取りにくいとの見方もある。
<英語論説:アフガンへの増派問題>
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