オバマ米大統領は1日夜、ニューヨーク州ウエストポイントの陸軍士官学校でアフガニスタンを巡る新戦略について演説し、来夏までに約3万人の米軍を追加増派し、その上で2011年7月から米軍の撤収開始を目指す方針を明らかにした。
《「米軍の撤収開始時期の明示」について英会話》
今回の戦略は現地のマクリスタル司令官の戦況報告を受けて検討された。
司令官は今後1年かけて4万人の増派を要請していた。
オバマ大統領は現地展開にかける時間を半分程縮め、来年前半だけで3万人を急派することにした。
07年に当時のブッシュ大統領がイラクで実施した増派作戦に通じる手法だ。
<英語記事:07年にブッシュ前政権が進めたイラク増派>
追加増派でアフガンの駐留米軍規模が初めてイラクを超えることになる。
《「イラクとアフガンの駐留米軍数」に関して英語にて解説》
イラクの米軍数は11月末時点で約11万7千人、10年8月末までに3万〜5万人に縮小する計画だ。
一方、今年11月末のアフガンの米軍数約6万9千人に増派分の3万人を加えると約10万人と少なくともイラクの2倍に膨らむ。
9年目に入ったアフガンでの対テロ戦争で米大統領が軍の撤収方針を表明したのは初めて。
<英会話/ディスカッション:アフガン戦争の出口戦略の提示>
完了時期は示さなかったものの、米報道によると、3年程度で完全撤収する戦略を描いている模様だ。
アフガン新戦略は兵力の集中投入で早期決着を目指すものだが、期限を区切ったことで短期の戦果を迫られる前線部隊の負担は極めて重い。
米軍も認めるように、山岳地帯に潜むイスラム原理主義の反政府武装勢力タリバンを制圧することは容易ではない。
米兵死者数は今年、既に過去最高だった昨年の150人の2倍に迫る。
[「米兵の精神的ストレス」を英会話のトピックとして]
タリバンは2日、「増派は我々の抵抗を強めるだけだ」との声明を発表した。
01年の崩壊から復活を遂げたタリバンは、復興の遅れへの不満を突いて活動を活発化。
地盤の東部と南部に加え、北部でも駐留米軍を繰り返し襲撃するなど勢力を拡大している。
《「タリバンの勢力拡大」に関して英語記事》
米軍撤収の前提となる治安権限の移譲を実現するにはアフガン国軍や警察の育成を急ぐ必要がある。
国軍の規模は目標の13万4000人を大幅に下回る9万人強にとどまり、識字率が低いため兵士の訓練も難航している。
現状のままではアフガンによる自前の治安体制の確立は遠い。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
現地の治安が悪化の一途をたどり、米国内ではベトナム戦争同様の泥沼化への懸念が強まっている。
[「アフガン戦争のベトナム化」を英会話/ディベートのテーマとして]
ギャロップ世論調査によると、増派を巡り米世論は真っ二つだ。
オバマ大統領は演説で「米国には43カ国もの同盟軍が加勢している」などと述べて、国内にくすぶる懸念を打ち消した。
巨額の財政赤字を抱える中、拡大する戦費に向けられる米議会や世論の目も厳しい。
オバマ大統領は新戦略遂行に伴う費用は「今年300億ドル(約2兆6100億円)」と開示した。
歳出増加の要因は医療保険改革など他にも目白押しで、追加景気対策を求める声も広がっている。
多額の戦費負担が米財政に重くのしかかる。
<英語論説:増派費用の財政への影響>
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