雇用情勢の悪化が一段と深刻になってきた。
総務省が28日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.3ポイント上昇の5.7%。
バブル崩壊後の2002年6、8月と03年4月に記録した5.5%を上回り、1953年の統計開始以来過去最悪となった。
《「選挙戦で各党が掲げる雇用対策」に関して英語論説》
一方、厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(同)も前月を0.01ポイント下回る0.42倍と、63年の統計開始以来の過去最低を3カ月連続で更新した。
<英語にて解説:雇用や景気の主な指標>
有効求職者が前月と比べ1.8%増えた一方、有効求人数が0.5%落ち込んだことが倍率低下につながった。
金融危機が深刻化した昨年10月の失業率は3.8%だったが、9カ月で2ポイント近くも悪化した。
2000年前後の景気悪化局面では、失業率が4%台から過去最悪だった5.5%に達するまで約4年かかっている。
[「急ピッチで進む雇用悪化」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
就業者数は前年同月から136万人減った。
雇用悪化が目立つのは輸出の大幅減に見舞われた製造業で、106万人と大幅に減少した。
一方、完全失業者数は359万人と前年同月と比べ103万人増え、過去最大の増加幅となった。
理由別にみると、勤め先都合の失業者が同65万人増の121万人と最も多かった。
《「企業リストラの影響」について英会話》
国内景気は持ち直しに向かいつつあり、政府は6月に「景気底打ち」を宣言した。
<英語表現の工夫:景気底打ち>
ただ生産水準は昨秋と比べ輸送機械が7割、電機も8割と依然として低い。
そのため企業は利益確保のためコストを減らさざるを得ず、雇用に強い調整圧力がかかっている。
失業率は先行きも一段と悪化する可能性がある。
今年10〜12月期には6%台に達するとの見方も出てきた。
大手百貨店が大規模な正社員削減の検討に入るなど、個人消費の低迷によって雇用調整が小売業やサービス業といった非製造業にも広がりつつあるためだ。
《「非製造業へ広がる雇用調整」に関して英語記事》
企業は来春の新卒採用を今年に比べ2割程度減らす見通しだ。
就職先を見つけられない大卒・高卒者が大量に出る可能性もある。
[「若い世代へのしわ寄せ」を英会話のトピックとして]
失業率急上昇の一因は雇用の調整弁となりやすい非正規社員の比率が高まったことだ。
「就職氷河期」の再来はフリーターなど非正規社員の一層の増加をもたらす。
総務省が同日発表した7月の全国消費者物価指数は変動が大きい生鮮食品を除いたベースで100.1となり、前年同月より2.2%低下した。
前年同月比の低下率は過去最大で初めて2%台に乗った。
昨年夏のガソリン価格急騰の反動が大きいが、衣料品や家具、家電など幅広い商品の価格下落も進んでいる。
<英会話/ディスカッション:強まるデフレ懸念>
4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は5四半期ぶりにプラス成長に転じた。
だが、その原因は消費振興策や公共投資といった経済対策の効果が大きいとの指摘がある。
雇用情勢の悪化と物価下落は、民間需要を軸とした国内経済の自律回復の強い足かせとなりそうだ。
〔英会話表現による言い換え〕
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