米政府は28日、二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出削減目標を定めた京都議定書の枠組みから事実上、離脱する方針を明らかにした。
《「京都議定書の骨子」について英語にて解説》
フライシャー米大統領報道官は同日の記者会見で、「大統領は京都議定書を支持しない」と述べ、批准を目指さない考えを表明。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ホイットマン環境保護局(EPA)長官も27日、「議定書の批准には政府として全く関心がない」と明言した。
米政府は理由として、温暖化対策が景気減速の著しい米経済に悪影響を及ぼす懸念があることや、排出量が急増するとみられる発展途上国に削減義務が課されておらず、公平さを欠くことなどを挙げている。
[「議定書離脱の理由」を英会話のトピックとして]
ブッシュ米政権では、大統領自身のほか、チェイニー副大統領なども石油業界にいた経歴を持つ。
また、電力・エネルギー業界は現政権の重要な支持基盤で、選挙資金の大口提供者でもある。
大手電力会社エンロンの会長はエネルギー政策に関してブッシュ政権の知恵袋となっている。
今回の米政府の決定の背景には、こうした人脈の存在がある。
<英語記事:米政権中枢のエネルギー人脈>
米政府は国内でも、環境規制を相次ぎ緩和・撤廃している。
《「ブッシュ政権の環境政策の後退」に関して英会話/ディベート》
発電所のCO2排出規制の公約撤廃、飲料水中の砒素含有量の新規制の実施見送り、鉱石採掘に関する規制撤廃、アラスカの自然保護地域での石油掘削解禁などである。
98年に京都議定書に署名したクリントン前政権は、途上国にも温暖化ガス排出規制の強化を求めながら、議定書の批准を目指す姿勢だった。
共和党主導の米議会は批准に強く反対していたが、米政府として不支持を正式に表明するのは大きな方針転換といえる。
<英語論説:米議会の議定書反対>
京都議定書は今年中に加盟国が運用ルールで合意し、各国の批准を経て02年をメドに発効にこぎつけることを目指していたが、米国の方針転換によって、早期発効が絶望的になった。
[「米国離脱の影響」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
議定書の発効には加盟国のうち55カ国が批准し、かつ批准国のCO2排出シェアが90年の先進国全体の55%以上になることが必要だ。
計算上は他のすべての先進国が批准すれば発効は可能だが、世界最大の排出国である米国が参加しなければ排出削減効果は大きく損なわれる。
《「米国抜きの議定書発効」について英会話》
国務省のバウチャー報道官は28日の会見で、7月にボンで開く地球温暖化防止会議に米政府は予定通り参加すると表明した。
自国の立場を説明し、日欧などに理解を求めるとともに、米国主導による新たな枠組みの提案をするとみられる。
[「米国主導の新枠組み作り」を英語記事のトピックとして]
温暖化交渉を牽引してきた日本と欧州連合(EU)は米政府の方針に対して憂慮を表明、連携して米国の翻意を促す構えだ。
ただ、今回の米国の動きについては、自国のこれまでの立場を通すための戦術的な揺さぶりとの見方もあり、日欧としては米国の交渉復帰を念頭に置いて、7月のボン会議までに議定書の運用ルールの練り直しも検討していく。
《「運用面での譲歩」に関して英会話/ディスカッション》
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