4〜6月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増(年率換算2.3%増)となり、6期連続のプラス成長となった。
景気の先行きに薄日が差してきたのは確かだが、底ばいを続けてきた景気が底離れし、日本経済がデフレから脱却できるかどうかはなお不透明だ。
《「薄日が差す」について英語表現の工夫》
実質GDPが民間予測平均(同0.2%増)を上回ったのは外需に加え、個人消費や民間設備投資といった内需が堅調に推移した影響が大きい。
寄与度をみると、輸出から輸入を差し引いた外需は0.2%、内需は0.4%それぞれ実質GDPを押し上げた。
輸出主導で企業業績が回復し、国内の民間需要に波及していく景気回復のメカニズムが徐々に動き出しているとみることもできる。
<英語記事:政府の描く景気回復のシナリオ>
ただ今回のGDP統計には特殊要因が多い。
民間エコノミストの間では「特殊要因を除いた実力は統計に表れた数字の半分程度」との見方が一般的だ。
[「エコノミストの慎重な見方」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
GDPの6割を占める個人消費は実質で前期比0.3%増だった。
最近の株高や雇用悪化への懸念後退で消費者心理が改善したことが消費を下支えした。
《「消費者心理の好転」について英会話》
給与所得などの雇用者報酬が名目で前期比0.8%増と2期連続のプラスで、所得に下げ止まり感が出ているのも消費には好材料だ。
特殊要因としては、新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行で海外旅行が減って国内のレジャー消費にシフトしたことや、7月に実施した増税前の駆け込みでタバコの購入が大幅に増えたことがある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
品目では薄型テレビやデジタルカメラ、DVD録画再生機などが好調だった。ただ個人消費は名目では前期比0.2%マイナス。
今回のGDP統計には反映していない7月以降の長梅雨・冷夏の影響も懸念材料だ。
[「天候不順の景気への影響」を英会話のトピックとして]
昨年度からの収益改善を背景に、設備投資は実質で前期比1.3%増と5期連続のプラスとなった。
《「企業規模別の設備投資」について英語にて解説》
首都圏での今秋からの排ガス規制強化を前に、事業用トラックの買い替え需要も全体を押し上げたが、これは特殊要因といえる。
ただ経営者の実感に近い名目ベースでは前期比0.5%減で、物価下落分で実質ベースでの伸び率が押し上げられている面が大きい。
輸出は実質で前期比1%増、6期連続のプラスを確保した。
好調だった中国などアジア向け輸出は新型肺炎の影響で前期比5.1%減(数量ベース)と減速したが、イラク戦争の影響で停滞した対米輸出は同0.8%増と1〜3月の9.9%減から持ち直した。
<英会話/ディスカッション:米景気回復への期待>
総合的な物価変動を示すGDPデフレーターは前年同期比2.1%減で、98年4〜6月期以来21期連続のマイナスとなり、デフレに歯止めはかかっていない。
《「変わらぬデフレ基調」に関して英語論説》
マイナス幅は過去最大だった1〜3月(3.5%減)に比べ1.4ポイント縮小したが、これは公務員のボーナス支給方法の変更という特殊要因が大きい。
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