政府は30日、総合デフレ対策として「改革加速のための総合対応策」を決定した。
不良債権処理の加速と産業・企業の再生を一体で進めるとともに、雇用・中小企業対策の安全網(セーフティーネット)を整備し、不良債権処理に伴うデフレ圧力を緩和するのが狙いだ。
《「金融・産業の一体的再生」について英会話/ディスカッション》
不良債権処理の加速策では、焦点となっていた税効果会計の見直しについて「速やかに検討する」として、実施時期を明示しなかった。
[「税効果会計の見直し先送り」を英会話/ディベートのテーマとして]
税効果会計とは、銀行が不良債権処理の過程で納めすぎた税金の将来の還付を見込んで、その戻り分(繰り延べ税金資産)を自己資本として算入する会計処理をいう。
当初案は繰り延べ税金資産について資本金など「中核的自己資本」の1割までに制限するとしていた。
繰り延べ税金資産は01年末の時点で、大手銀行の中核的自己資本の約4割の約8兆円に達している。
「1割案」を適用すれば大手銀の自己資本比率は国際基準の8%を割り込み、資本不足になることから、銀行側は与党も巻き込み必至に抵抗、対策ではこの算入上限が消え、事実上結論先送りになった。
<英語記事:公的資本注入の可能性>
貸出債権の査定強化では、米国で幅広く採用されている「ディスカウント・キャッシュ・フロー(割引現在価値)方式」の導入を打ち出した。
貸出先の将来の収益見込みなどを勘案して債権の価値を判定する仕組みだ。
新方式を採用すると資産査定が厳しくなり、銀行が積む貸倒引当金額が大幅に膨らむとみられる。
[「資産査定の厳格化」を英会話のトピックとして]
銀行側が求めていた不良債権処理を巡る税制の見直しを検討することも盛り込んだ。
処理を進めやすくするための税制上の措置としては、繰り戻し還付制度の凍結解除、無税償却の弾力化、欠損金の繰越控除期間の延長がある。
<英語にて解説:繰り戻し還付制度>
産業再生策の目玉として、官民出資で「産業再生機構」(仮称)を創設する。
過剰債務を抱えるゼネコンや流通、不動産などの企業を想定、再建可能な企業を選び、その企業向け債権を銀行から時価で買い取る。
企業再生を円滑に進めるため、再生機構は出資、融資、保証など銀行と同様の業務を行う。
再建できるかできないかの企業の線引きが最大の課題だ。
《「選別基準の透明性」について英会話》
安全網の整備では、雇用対策として離職者の採用企業への助成金の支給、中高年の受け皿会社の創業支援、中小企業対策としては公的信用保証制度の拡充などが盛り込まれた。
[「不十分な雇用対策」を英語論説のテーマとして]
安全網強化を巡っては「今後の税収動向を踏まえ、引き続き必要な措置について検討」と明記し、補正予算を含め財政措置を追加する方向を示した。
政府が来年1月召集の通常国会に提出する02年度補正予算案での財源確保が安全網強化の課題となる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
日銀は同日、政府と歩調を合わせ、一段の金融緩和に踏み切ることを決めた。
<英会話/ディスカッション:日銀の金融政策と政府の動き>
当座預金残高の目標を現在の10兆〜15兆円程度から15兆〜20兆円程度に引き上げ、同時に長期国債の買い入れを月1兆円から月1兆2千億円に増額する。
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