95年にナトリウム漏れ事故を起こし停止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を巡り、住民らが国に原子炉設置許可の無効確認を求めた行政訴訟の控訴審で、名古屋高裁金沢支部は27日、一審の福井地裁判決を覆し、許可処分を無効とする判決を下した。
《「一審判決の要旨」について英語記事》
原子炉施設の建設や運転の差し止め、設置許可の無効や取り消しなどを求めた訴訟で、住民側が勝訴したのは初めてだ。
<英語にて解説:過去の原発訴訟>
これまでの原発訴訟で裁判所はほとんどの場合、原告の適格性や安全審査の手続きの妥当性は判断しても、技術的な判断を避けてきた。
原発の安全性に関する技術的な評価のように、高度な専門性と知識を必要とする問題は司法の判断にはなじまないというのがその理由だ。
しかし、今回の判決は大胆に技術論にまで踏み込んだ。
〔英会話表現による言い換え〕
判決では、国の安全審査で想定していなかった事故として、漏れたナトリウムとコンクリートとの接触による爆発、蒸気発生器内の伝熱管の同時大量破断、炉心崩壊による放射性物質の外部放出などの可能性を指摘。
「実際にはこれらの事故が起きる可能性がある」とした上で、「安全審査の過程に看過しがたい過誤・欠落があった」と判断した。
[「安全審査への疑念」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
もんじゅは国と動力炉・核燃料開発事業団(現核燃料サイクル開発機構)が約6千億円を投じて建設し、91年に完成。
プルトニウムなどを燃料とし、燃やした以上のプルトニウムを生み出せる。
<英会話:「夢の原子炉」>
95年8月に試験送電を始めたが、4カ月後に原子炉の2次冷却材のナトリウム0.7トンが配管から漏れ、燃焼する事故が起きた。
国や核燃機構は3月にもんじゅの設置変更(一部改造)に着手し、05年7月の運転再開を目指していた。
原子力安全・保安院や原子力委員会も昨年12月までに設置変更申請を許可、地元の了解を得るだけだった。
しかし、判決は「安全審査の全面的なやり直しが必要」としており、計画は事実上白紙に追い込まれた。
《「運転再開の見通し」に関して英会話/ディスカッション》
もんじゅの安全性が揺らいだことで、原発の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを燃料として再利用する「核燃料サイクル」の先行きが一段と不透明になりそうだ。
[「核燃料サイクルの再検討」を英語論説のテーマとして]
もんじゅはこの計画の中核施設だったが、95年の事故後、原子力政策上の位置付けは「技術的選択肢の1つ」に格下げされた。
政府は、プルトニウムを通常の原発で燃やす「プルサーマル」を「サイクル」の当面の柱と位置付け直したが、99年に英国で日本向けプルサーマル燃料の検査データ捏造が発覚。
昨年は東京電力の原発トラブル隠しが露見し、プルサーマル実施の見通しは立っていない。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
原子力政策全般への影響も懸念される。
原発トラブル隠しでは保安院の対応の不手際が問題になり、地元自治体は原子力行政に不信感を募らせている。
[「原子力行政への不信感」を英会話のトピックとして]
今回の判決で、一般の原発を対象にした安全審査結果に対しても地元で疑問が強まることも予想される。
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