イスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長は8日、エジプトのシャルムエルシェイクで会談した後、それぞれ停戦を宣言した。
《「過去の首脳会談の成果」について英語記事》
4年半にわたる第2次インティファーダ(パレスチナ人の対イスラエル蜂起)による武力衝突の終結を意味し、和平交渉の再開に向けて一歩前進した。
会談後、各首脳が声明を読み上げた。
シャロン首相は「パレスチナが暴力を停止し、同時に、イスラエルも軍事行動をやめる。新しい時代が始まる」と強調。
アッバス議長は「イスラエル人に対する暴力行為の停止」を表明し、「今日、(中東和平のプロセスを定めた)ロードマップの新しい一歩を踏み出した」と述べた。
<英語にて解説:ロードマップで示された和平プロセス>
停戦以外では、パレスチナ人拘束者の釈放問題などを話し合う合同委員会の設置で合意した。
イスラエルは、8千人とされる拘束中のパレスチナ人のうち、まず9百人を釈放することを決めている。
[「パレスチナ人拘束者問題」を英語記事のトピックとして]
自治政府は対象の拡大を求めており、合同委員会で協議を続ける。
2000年9月、当時右派政党リクードの党首だったシャロン首相がエルサレムにあるイスラム教聖地の訪問を強行したことを機に第2次インティファーダが勃発した。
テロと軍事行動の応酬が繰り返され、この4年半で双方に計5千人近い死者を出した。
《「暴力の連鎖」について英会話/ディスカッション》
シャロン首相は01年の就任以来、当時のアラファト自治政府議長を「敵」と公言し、議長との接触を一貫して拒否。
和平交渉は4年間にわたって停滞したが、昨年11月にアラファト議長が死去、今年1月の議長選でテロに批判的な穏健派のアッバス氏が後継に選ばれた。
[「和平機運の高まり」を英会話のトピックとして]
アッバス議長は就任直後から武装勢力と協議を重ね、停戦の説得に成功。
自治政府の治安部隊を武装勢力が拠点とするガザ地区に配備し、対イスラエル攻撃の阻止にも成果をあげた。
<英会話/ディスカッション:アッバス議長の政治手腕>
これを受けてイスラエルは1月末以降、ガザや西岸への侵攻や武装勢力の掃討作戦などを大幅に抑制している。
双方に影響力を持つ米国も中東和平の仲介役に積極的に乗り出す姿勢を示している。
7日まで中東を訪問していたライス米国務長官は各首脳と会談し、2期目に入ったブッシュ大統領が和平推進に力を注ぐ意向であることを伝えた。
《「中東和平における米国の役割」に関して英会話/ディベート》
イスラム原理主義組織ハマスの報道官は8日、今回の停戦宣言について「宣言は自治政府の立場を示すもので、我々の闘争には関係ない」と述べ、宣言に拘束されないことを強調。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今後もテロ攻撃を続ける可能性については「状況を見守る」と述べた。
停戦は宣言されたが長続きする保証はなく、衝突がいつ再燃してもおかしくない危険をはらんでいる。
《「停戦持続の不透明さ」について英会話》
武装勢力は停戦の条件として拘束中のパレスチナ人釈放を求めており、この問題などが紛糾するようだと再び攻撃が始まる可能性もある。
イスラエルの停戦宣言もパレスチナ側の武力停止を前提としている。
和平交渉の再開までこぎつけられるかは依然として不透明だ。
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