イラン政府は22日、核問題解決のために国連安全保障理事会常任理事国とドイツの6カ国が6月に提示した「包括見返り案」に回答した。
内容が公表されず詳細は不明だが、ウラン濃縮停止を事実上拒否し、濃縮活動を続ける姿勢を示したとみられる。
<英語にて解説:核兵器保有までのプロセスとイランの現状>
イラン核開発問題の対外交渉を担当する最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長はテヘランに駐在する各国大使に回答書を手渡した際、「イランは23日以降、包括案について6カ国側と話し合う用意がある」と表明。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
地元メディアによると、回答の中でもイランは核協議再開を申し入れた。
今年2月、国際原子力機関(IAEA)はイラン核問題を国連安保理に付託することを決定。
これを受けて3月に国連安保理はイランに30日以内のウラン濃縮活動停止を求める議長声明を採択したが、イランは4月、低濃縮ウランの製造に成功したと発表した。
《「イラン核問題の経緯」に関して英語記事》
国連安保理の常任理事国(米英仏中ロ)にドイツが加わった6カ国は、イランにウラン濃縮を断念させるため、「アメとムチ」の双方を盛り込んだ「包括見返り案」をまとめ、6月6日にイランに提示した。
<英語表現の工夫:アメとムチ>
これに対しイランが包括案への回答を先送りしたため、米欧は不信感を強め、安保理は7月末、イランが今月31日までにウラン濃縮を停止しなければ経済制裁を検討するという警告決議を採択した。
《「対イラン経済制裁警告決議」について英語にて解説》
イラン側は21日、最高指導者ハメネイ師が「ウラン濃縮継続の決定」を表明した。
イランが22日に示した包括案への回答は、ウランの濃縮停止を拒む一方で、交渉の継続を提案している。
これには、イランが結局はウラン濃縮を温存し、核開発を進める時間稼ぎを狙っているとの見方が強い。
[「包括案回答の狙い」を英会話のトピックとして]
米欧の反発は必至だ。
イランが安保理決議を無視し、濃縮活動を継続すれば、制裁決議採択を安保理に働きかける構えだが、イランは安保理が制裁発動ですぐにまとまるとは考えていない。
経済や軍事でイランとの関係が密接なロシアや中国は依然として、経済制裁に慎重な姿勢を示している。
《「6カ国間の温度差」に関して英会話/ディスカッション》
米政府はイランに対し、あくまでウラン濃縮活動の全面停止を要求する方針を崩していない。
今後の交渉は現在の濃縮停止が前提との立場だ。
安保理での制裁決議までには時間がかかると判断し、すでに日本や一部欧州諸国と「有志による制裁」の可能性を協議するなど、国連の枠外での制裁を探る動きも見せている。
<英会話/ディベート:「有志の制裁」の是非>
核問題でイランが強気の姿勢を崩さない背景には中東での存在感の高まりがある。
イランはレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラやイラクの武装勢力を支援しているとされる。
国際社会には、レバノンやイラクでの影響力を誇示するイランを核問題で追いつめることが中東の不安定化につながりかねないとの懸念がある。
[「イラン核問題と中東情勢」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
イラン指導層の強硬姿勢を受けて、安保理での制裁論議が加速しそうだ。
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