14日、中国チベット自治区のラサで仏教僧や住民と治安当局が衝突し、国営新華社通信によれば10人が死亡した。
ラサでの大規模な騒乱は、1989年の暴動以来、ほぼ19年ぶりだ。
《「チベット問題」について英語にて解説》
チベットでは、1959年の「チベット動乱」から49周年にあたる10日以降、チベット仏教の僧侶らが中国の支配に抗議するデモを展開していた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
抗議行動は14日にエスカレートし、ラサ中心部にあるチベット仏教の聖地、大昭寺付近の繁華街で火災が発生した。
武装警察が催涙ガスや威嚇射撃で対応したという。
地元の当局者は一連の抗議行動について、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の一派が関与した組織的、計画的な暴動と非難した。
[「ダライ・ラマ派の関与断定」を英会話のトピックとして]
一方、ダライ・ラマは「深い懸念」を表明するとともに、中国当局とチベット住民の双方に自制を求めている。
チベット問題の発端は、1951年に中国の人民解放軍がラサに進駐したことにさかのぼる。
59年に中国の支配に抵抗し、独立を求める大規模な抗議行動(チベット動乱)が起きたが、中国が武力鎮圧し、ダライ・ラマはインドに亡命し、亡命政府を樹立した。
中国政府は65年にチベット自治区を設置した。
<英語記事:チベット自治区を巡る動き>
チベット動乱から30年が経過した89年3月にも独立要求デモが激化した「ラサ暴動」が発生し、中国政府は戒厳令を敷いた。
その3カ月後に北京で天安門事件が起きた。
学生らの民主化運動を武力で制圧した中国は、日米欧が対中制裁に踏み切ったことから、国際的に孤立した。
〔英会話表現による言い換え〕
ここ数年、中国指導部は経済振興によるチベット族の融和政策を進めてきた。
チベットに重点投資し、06年7月には青梅チベット鉄道も敷設。自治区の昨年の旅行業収入は前年比75%増を記録した。
経済成長率も7年連続で12%を超えている。
[「チベット融和策」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
それだけにラサでの騒乱は指導部にとって大きな誤算だった。
北京では現在、全国人民代表大会(全人代)が開催中だ。
胡錦濤指導部は北京五輪に向けた万全の準備態勢をアピール。
6日に胡主席は全人代のチベット自治区代表団の会合に出席し、チベットの治安維持の必要性を強調した。
実は自身も同自治区のトップを務め、89年の暴動鎮圧を指揮した経緯がある。
不測の事態が最悪のタイミングで起きたといえる。
《「胡政権の揺さぶり」について英会話》
チベットの不安定化は、各地の少数民族にも飛び火して、分離独立派に勢いを与えかねない危険をはらんでいる。
[「中国の少数民族政策」を英語論文のテーマとして]
当局の発表によると、7日に新疆ウイグル自治区のウルムチから北京に向かう国内線旅客機で爆発物が発見されるテロ未遂事件があった。
5カ月後の北京五輪を前に、中国の人権状況に対する国際社会の視線は一段と厳しくなっている。
<英語表現の工夫:厳しい視線>
抗議デモ激化の背景には、国際社会にチベット問題を訴える思惑があったとみられる。
今後、住民側の死傷者が増えれば中国にとっての打撃は計り知れない。
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