ブッシュ米大統領は10日夜、全米向けのテレビ演説で、内戦状態の「イラクの現状は容認できない」との認識を示した上で、「誤りの責任は私にある。イラクでの戦略を変える必要があるのは明らかだ」と述べ、新政策を発表した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ブッシュ政権は昨年11月の中間選挙で敗北、03年3月の開戦以来初めて、最大の敗因となったイラク政策の大幅な見直しに追い込まれ、国防総省や国務省で人事を刷新した。
《「中間選挙での敗北の背景」について英会話/ディスカッション》
大統領は「首都バグダッドの治安を回復する過去の取り組みはイラク部隊、米軍部隊の双方が十分でなかったため失敗に終わった」と指摘。
<英語にて解説:イラクでの死者数の推移>
この過ちを正すため「イラクに2万人超の米軍兵力を増派する」と表明した。
増派するのは、宗派間抗争が激化するバグダッドに陸軍5個旅団約1万8千人と、国際テロ組織アルカイダ系武装組織の拠点と目される西部アンバル州に海兵隊2個大隊約4千人。
《「バグダッドで頻発する宗派間衝突」に関して英語記事》
国防総省によると、イラク駐留米軍の現兵力は約13万2千人で、増派で約15万4千人と過去最大規模となる。
増派には、米軍内部でも、現地司令官らから直前まで疑問視する声が上がっていた。
ギャラップ社が9日に発表した世論調査では61%が増派に反対。
議会では主導権を握る民主党が増派阻止に向けて法案提出の準備を進めており、共和党内にも同調の動きが出てきている。
[「大統領への逆風」を英会話のトピックとして]
それでも増派に踏み切った背景には、大統領が「イラクは対テロ戦の主戦場」との位置づけを変えなかったことがある。
大統領はまた、「今撤退すればイラク政府の崩壊を招き、部隊駐留のさらなる長期化を余儀なくされる」として、民主党が主張する早期撤収論を退けた。
昨年12月に超党派の有識者「イラク研究グループ」が提案した、08年3月までの段階的撤退にも従わなかった。
<英語論説:イラク研究グループによる提言>
経済復興の重要性も強調、雇用創出などを目標とする約12億ドルの経済支援を実施する。
ただ、新政策の柱である一時増派にせよ、経済支援にせよ、実際の効果は不透明だ。
大統領自身「イラクの状況改善に特効薬はない」と認めている。
[「増派の効果」を英会話/ディベートのテーマとして]
このため大統領は「宗派間の武力衝突を解決できるのはイラク人だけだ」「米国のイラク支援は無制限でない」と述べ、主役はあくまでイラク政府であることを強調。
11月までに全土の治安権限をイラク側に移譲する。
《「治安権限移譲の現実性」について英会話》
「イラク政府は行動する時だ」と指摘し、石油収入の分配やスンニ派の政治参加などイラク政府が掲げた公約について、「約束を果たせなければ米国民の支持を失う」と実現を強く迫ったのも、イラクの自立を支援するのが米国の義務との構図を強調するためだ。
<英会話/ディスカッション:スンニ派の取り込み>
一方、「イランとシリアはテロリストの往来を容認し、イランは米軍攻撃の物的支援をしている」と両国を批判、「イランとシリアからの反米勢力への支援の流れを食い止める」とし、イラク研究グループによる両国との直接対話の提言を採用しなかった。
[「周辺国の思惑」を英語記事のトピックとして]
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