25日、イラク独立選挙管理委員会が15日に実施された新憲法案を巡る国民投票の最終集計結果を公表。
全体の賛成票は半数を大きく上回る78.59%に達し、同案は承認された。
イラクの民主化プロセスはまた一歩前進した。
《「憲法案承認の意義」について英会話》
憲法案の起草では1月の国民議会選挙で圧勝したシーア派とクルド勢力が主導権を握った。
旧フセイン政権下で抑圧された両派にとって悲願だった自治の確立のため、両派は一致して連邦制の導入を進めた。
[「連邦制の導入」を英会話/ディベートのテーマとして]
旧政権で優遇されたスンニ派は、油田地帯がシーア派とクルド人勢力の地域に集中しているため、連邦制導入で「両派に石油収入を独占され、国家が分裂する」として反対。
<英語にて解説:イラク各州の民族・宗派分布>
しかし、スンニ派の抵抗を押し切って8月28日に新憲法案が確定した。
スンニ派は1月の国民議会選挙で大半が投票をボイコットした結果、同派が得た議席は定数の10%以下にとどまり、移行政府でも憲法起草でもスンニ派の意思が反映されなかった。
《「スンニ派のボイコット戦略」について英会話/ディスカッション》
その反省から政治プロセスへの参加機運が高まり、新憲法案については「反対票を投じることで否決に追い込むべきだ」との意見も多かった。
スンニ派の住民が多数を占めるのは、中・北部のアンバル、ニネベ、サラフディン、ディヤラの4州。イラク基本法の特別規定は、全国の賛成が過半数でも「3州で反対が3分の2以上なら否決」と定めているため、スンニ派が多数の4州の可否の行方が注目された。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
開票の結果、サラフディンとアンバルの両州では、反対票がそれぞれ81.75%、96.96%と3分の2を上回ったが、シーア派やクルド系住民との混在地域であるニネベ州とディヤラ州では、反対がそれぞれ55.08%、48.73%で3分の2に届かず、特別規定の条件に達する州は2州にとどまった。
[「一部の州での圧倒的反対」を英会話のトピックとして]
新憲法案の承認を受けて、12月15日に同憲法に基づく総選挙を実施、同月31日まで本格政府が発足し、イラクの民主化プロセスは最終段階を迎えることになる。
《「イラクを巡る主な動き」に関して英語にて解説》
今後の焦点は12月に予定される総選挙の実施に移る。
スンニ派も、新議会で憲法改正を実現するため、選挙に参加して議会での失地回復を図る構えだ。
<英会話/ディスカッション:スンニ派の選挙参加>
来年早々には憲法改正審議が始まるが、連邦制の見直しを主張するスンニ派の意見がどこまで通るか不透明だ。
米国の大統領報道官は25日、イラク新憲法の承認について「画期的な出来事」と述べ、投票率が約64%だったことにふれ、「ますます多くのイラク国民が政治プロセスに参加しているのは励みになる」と歓迎の意を示した。
[「イラクの民主化計画」を英語論説のテーマとして]
米政府は、特にスンニ派住民の投票を評価している。
米軍撤退を求める国内世論が高まるのは必至で、ブッシュ政権も撤退の具体的な基準作りを急ぐ。
しかし、憲法制定や本格政権発足が治安安定につながる保証はなく、早期撤退論に対して政権幹部からは長期的な関与を示唆する発言も出てきている。
《「撤退のタイミング」について英語記事》
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