イスラエル総選挙は28日に投開票され、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸からの一方的撤退を掲げる中道新党カディマが第1党となった。
政権が左派の労働党と右派のリクードの間で交代する時代が長く続いたイスラエルの政治は新たな局面を迎える。
<英語にて解説:イスラエルの二大政党時代>
開票率99.7%の時点での獲得議席数は、国会定数120のうち、カディマが28、労働党がほぼ現状維持の20、リクードは11議席で惨敗した。
《「リクードの惨敗の原因」について英会話/ディスカッション》
第3党は宗教政党シャス(13議席)。
台風の目となったのはロシア系移民を支持基盤とする極右政党「わが家イスラエル」で12議席を獲得した。
カディマを率いるオルメルト首相代行は、国会で過半数の61議席以上を獲得するため、 連立交渉に乗り出した。
労働党や少数政党が交渉相手となる。
選挙戦で、雇用や最低賃金など社会経済問題に焦点を当てた労働党は財務相をはじめ経済関連の主要閣僚ポストを要求するとみられる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
シャロン首相は05年11月、自らが進めたガザ地区の入植地撤収に反対するリクードに見切りをつけて離党、カディマを立ち上げた。
《「ガザ撤退の意図」について英語記事》
党名はヘブライ語で「前進」という意味。中道勢力を結集して撤退路線の推進を目指している。
今年1月に党首のシャロン首相が脳内出血で倒れ、オルメルト首相代行が党首に就いた。
今回のイスラエル総選挙は、西岸撤退の是非を問う信任投票となった。
カディマの獲得議席数は定数の4分の1にすぎず、一方的撤退で明確な支持を得たとは言い難い。
ただ、パレスチナ側と交渉した上でという条件つきながら西岸撤退に積極的な労働党などを含め撤退支持派が全体として多数を占めた。
西岸の一部入植地撤去と「国境」画定への布石が敷かれたことは確かだ。
<英語表現の工夫:布石を敷く>
カディマの構想では、10年までに西岸の小規模入植地を撤去。本土に近い大規模入植地を併合し、建設中の分離壁に沿って境界線を画定する。
[「パレスチナとの分離政策」を英会話のトピックとして]
パレスチナ側の強硬姿勢が変わらなければ、一連のプロセスを交渉抜きで実施する。
イスラエル国民が西岸撤退に傾いた背景には、人口問題がある。
アラブ系の人口増加率はユダヤ系を大きく上回る。
西岸全体の併合にこだわり続けると、近い将来、ユダヤ国家としての性格を維持できなくなるとの危機意識が高まっている。
〔英会話表現による言い換え〕
ブッシュ米大統領は29日朝、オルメルト首相代行に電話をかけ、早期訪米を呼びかけたという。
米政府には、カディマがパレスチナ側との対話抜きで「和平政策」を進めることへの不安がある。
《「対話抜き和平」に関して英会話/ディベート》
このため大統領はオルメルト氏の真意を確かめ、路線変更を説得する方針とみられる。
パレスチナ自治区では同日、1月の選挙で圧勝したイスラム原理主義組織ハマスの単独内閣が正式に発足した。
<英会話/ディスカッション:パレスチナ住民のハマス支持>
ハマスが武装解除に応じたり、イスラエルの存在を認めるなどの譲歩を示す可能性は低い。
中東和平プロセスの早期再開は難しそうだ。
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