15日、北陸電力の志賀原子力発電所1号機で1999年に、定期検査のため停止していた原子炉の制御棒が誤って外れ、一時制御不能になる臨界事故が起きていたことが分かった。
北陸電力は事故を国や自治体に報告していなかった。
《「過去の原発トラブル隠し」について英会話》
臨界とは核分裂が次々と連続して起こる状態をいう。
原発に使う核燃料物質は中性子があたると核分裂を起こす。
原発では制御棒という中性子吸収材を使って中性子の数をコントロールして反応を制御しているが、制御できなくなった場合が臨界事故だ。
<英語にて解説:制御棒の機能>
事故発生直後に当時の原発所長らが緊急会議を開き、運転日誌にも記録を残さず、国へも報告しないことを決めていたことも判明。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
報告を怠ったことは原子炉等規制法の報告義務違反とみられるが、3年の時効が過ぎている。
原子力安全・保安院は事故の記録を保管しなかったことが同法の保安規定に触れる恐れがあるとみて、行政処分の検討に入った。
臨界事故は、制御棒の出し入れを調整する弁の操作手順を誤ったため、制御棒89本のうち3本が抜けてしまったことが原因だ。
さらに、こうした場合に通常の運転時では作動するはずの緊急停止装置が定期点検中のため働かず、想定外の事態を招いた。
[「人為ミスの重なり」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
昨秋以降、電力会社のデータ改竄や事故隠蔽が相次いだ。
昨年10月に中国電力が水力発電用のダムの測量データを改竄していた事実が発覚したのが発端だ。
その後、各電力会社の原発で冷却用海水の取排水の温度差データの改竄が判明。
《「原発の冷却用海水の温度」に関して英語にて解説》
保安院は各社に全発電所に関する不正の一斉点検を指示した。
今年1月には東京電力が、92年に柏崎刈羽原発で、国の検査の際に、故障した緊急炉心冷却装置のポンプを正常に動くかのように偽装工作していた事実を公表。
[「東電の偽装工作」を英会話のトピックとして]
その後、東電の柏崎刈羽と福島第2の両原発、東北電力の女川原発で、原子炉が緊急停止するトラブルを国に報告せず、隠蔽していたことも判明した。
そして今回の北陸電力による隠蔽である。
同社によると、国の指示で進めた総点検中、作業員への聞き取り調査などから8年前の臨界事故が浮上したという。
国内初の臨界事故の隠蔽について、保安院の担当者は「東北電力や東京電力の事例よりも悪質」と批判した。
<英語記事:JCOで起きた臨界事故>
電力業界の隠蔽体質の背景として、歪んだ公益意識が指摘されている。
電力会社が安定供給を盾に、原発の安全を後回しにしたという見方だ。
原発トラブルが表面化すれば一時停止は避けられず、長引けば供給計画が狂ってしまう。
今回も現場では供給力確保を最優先する意識が働いたのではないか。
[「供給最優先」を英会話/ディベートのテーマとして]
北陸電力は保安院の指示を受け、志賀原発1号機の運転を停止する。
低圧タービンの損傷で停止中の2号機と合わせ、同社が保有する原発2基がすべてストップする。
再開までの間、火力発電所の稼働率を高めて電力供給を補うというが、需要期の夏場を控え、供給力不足の懸念は消えない。
《「供給力低下の影響」について英会話/ディスカッション》
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