19日午前4時7分ごろ、房総半島南端部の野島崎から南南西約40キロの太平洋で、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」が、千葉県勝浦市の新勝浦市漁業協同組合所属のマグロはえ縄漁船と衝突した。
《「海自の艦船による衝突事故」について英会話》
漁船は船体中央付近で二つに折れ、乗り込んでいた2人が行方不明になった。
自衛艦と民間の船舶との重大事故は、1988年7月に神奈川県横須賀沖で起きた潜水艦「なだしお」と大型釣り船の衝突事故以来のことだ。
この事故では乗客乗員30人が死亡、17人がけがをした。
94年の東京高裁判決などでは「なだしお」側の過失が事故の主因と認定した。
《「なだしおの衝突事故後の経過」に関して英語記事》
海上衝突予防法では、2隻の船がすれ違う場合は双方が右に回避し、船同士の航路が交差する場合は、相手の船を右舷側に見る船(相手の左舷側を見る船)の方に回避義務があり、相手の船尾に回り込んで回避するのが原則となっている。
<英語にて解説:海上衝突予防法>
今回の事故は回避義務がどちらにあったかは不明だが、漁船の船体中央部が真っ二つに割れていることから、イージス艦は漁船の真横から衝突した可能性がある。
漁船は左舷側の損傷が激しいという。
こうした状況から、イージス艦の前方右側から漁船が横切る際に衝突した可能性が大きく、もしそうならイージス艦側に回避義務が生じる。
[「イージス艦の回避責任」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
イージス艦では通常、艦橋の中で当直士官らが前方を目視し、さらに艦橋の左右のウイングに1人ずつと後甲板に1人の計3人の見張り員が24時間態勢で周囲を監視。
〔英会話表現による言い換え〕
少なくとも2人が水上レーダーで周囲の海域を常に警戒しているという。
事故当時、現場海域の天気は曇りで霧は発生しておらず、視界は20キロで良好だった。
北よりの風が約7メートル吹いていたが、波の高さは0.5メートルと穏やかだった。
レーダー分析上のミスか、見張り員の見落としの可能性が高まっている。
<英会話:見張り不十分の可能性>
イージス艦は海上自衛隊が保有する最新鋭の護衛艦だ。
高度な防空性能が特徴で、敵のミサイルや攻撃機など100以上の目標物を同時に探知し、10以上を同時攻撃できる防御システムを搭載する。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
あたごは5隻目となるイージス艦で昨年3月に就航したばかりだ。
最新鋭のイージス艦であっても、イージスシステムの要となる高性能の防空レーダーは上空の標的に対処するもので、水上の船舶などを識別するレーダーの性能は通常の艦艇と変わらない。
水上での事故回避には人的な警戒に頼る点でも他の艦艇と同じだ。
[「最新鋭艦の盲点」を英語論説のテーマとして]
福田政権で危機管理能力を試される初めてのケースとなった今回の事故では、緊急時の連絡体制の不備が露呈した。
事故発生から防衛相への報告には約1時間半、首相には約2時間もかかった。
《「報告遅れの原因」について英会話/ディスカッション》
こうした防衛省の対応に与野党から批判が噴出、首相も19日夕、防衛省内の連絡体制を抜本的に見直す必要があるとの考えを強調した。
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