8日午前8時50分ごろ、パキスタン北部でマグニチュード(M)7.6の強い地震が発生し、カシミール地方、インド北部、アフガニスタンを中心とする広い地域に多大な被害をもたらした。
震源は首都イスラマバードの北東約95キロの地点で、震源の深さは約10キロとされる。
[「震源の深さ」を英会話のトピックとして]
17日現在、死者数はパキスタン、インド両国合わせて4万人を超えた。
この地震でイスラマバードの高層アパートが倒壊し、1階に住んでいた日本人父子が死亡、妻が重傷を負った。
この男性は都市廃棄物対策の専門家で、国際協力機構(JICA)からパキスタンの環境保護庁に派遣されていた。
倒壊した建物は違法増築の疑いが指摘されていたという。
《「違法建築物の倒壊」に関して英会話/ディスカッション》
最も大きな被害を受けたカシミール地方は、1947年のインドとパキスタンの独立以来、両国が領有権を争い分断支配している。
<英語にて解説:カシミール紛争>
このうち、地震が直撃したパキスタン側カシミールは、事実上の国境となっている停戦ラインを越えてインド側に侵入し「越境テロ」を行うイスラム過激派の拠点があるといわれる地域だ。
同地方はほとんどが険しい山岳地帯で、悪天候の影響により地盤が緩んでいたことも重なって、各地で大規模な土砂崩れが発生した。
そのため、集落をつなぐ道路が寸断され、救援活動が難航している状況だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
パキスタンは、隣国のアフガニスタンやインドとともに世界有数の地震多発地帯だ。
ユーラシア大陸のプレート(ユーラシアプレート)とインド亜大陸をのせたプレート(インド・オーストラリアプレート)がぶつかり合う「プレート衝突境界」に位置している。
《「プレート衝突境界」に関して英語論文》
ヒマラヤ山脈はこの両プレートの境界が盛り上がって形成されたといわれている。
また、巨大津波を引き起こした昨年末のスマトラ沖地震(M9.0)も、同じプレート同士の境界で発生した。
<英会話:スマトラ沖地震の被害>
最近でもこの地域では、1999年にインド北部ウッタルプラデシュ州の地震(M6.8、死者百人以上)、01年にインド・グジャラート地震(M7.6、死者2万人)、02年にアフガニスタン北東部バグランの地震(M6.1、死者1千人)など、大地震が頻発している。
《「この地域での近年の大地震」について英語記事》
懸命な救助活動と復旧作業が続く中、震災対策の遅れが被害を拡大させた要因として浮かび上がってきている。
[「震災対策の遅れの原因」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
パキスタン国内の住宅の大半は日干しレンガ積みや石積みの家屋だ。
同じ地震多発国のイランでは、伝統的工法による建物でも、鉄筋を使った耐震補強の試みが広がっているが、パキスタンではほとんど進んでいないという。
今回震源地から95キロも離れたイスラマバードで高層アパートなどが倒壊したのは、地震による長周期震動が原因と見られる。
日本の高層建築物は耐震性に優れているといわれるが、現在の耐震性は短周期震動に対してのものだ。
長周期震動への対応は日本の耐震対策にとって今後の課題といえる。
《「長周期震動と高層建築」に関して英語論文》
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