8日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民5人が中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込み、中国の武装警察官に連行された。
事件発生後、日本政府は中国政府に対し、ウィーン条約が定める「領事機関の公館の不可侵権」を侵害したと抗議し、陳謝と5人の身柄引き渡しを要求した。
《「ウィーン条約」に関して英語にて解説》
これに対し中国政府は、日本総領事館の安全確保のために「不法侵入した身元不明者」を連行したのであり、ウィーン条約も順守していると主張し、双方が真っ向から対立した。
その後も、武装警官は日本側の同意を得た上で総領事館に立ち入ったとする中国側の調査結果に対して、日本側が全面的に否定するなど、両者の主張は平行線をたどった。
<英語表現の工夫:平行線をたどる>
結局両政府は、水面下で交渉を続けた結果、5人を第3国に出国させることで一致した。
〔英会話表現による言い換え〕
5人は22日午後北京を出発し、マニラ経由で23日早朝に韓国入りした。
本国に送還された場合、5人が厳罰を受けるのは必至と見られていた。
最悪の事態を回避できたことは、人道的な立場を最優先した解決策として評価できる。
亡命事件は発生から2週間ぶりに一応の決着をみたが、主権侵害問題は未解決のまま先送りされることになった。
連行時に日本側の同意があったのかどうかなど、事実関係を徹底的に調査した上で、両政府にはこの問題について冷静に対応してもらいたい。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今回、北朝鮮住民5人が総領事館に駆け込む様子を撮影したビデオ映像が放映され、日本総領事館側の対応のまずさに批判が相次いだ。
《「日本総領事館の対応」について英会話》
また事件当日、駐中国大使が北朝鮮からの脱出者が大使館内に入ってきた場合には「不審者とみなして追い出せ」と指示していたことも明らかになった。
背景には、「政治亡命は受け入れない」とする日本政府の原則がある。
[「日本の亡命者に対する政策」を英会話/ディベートのテーマとして]
今回の瀋陽事件で、亡命者や難民の受け入れに消極的な日本の姿勢を改めて国内外に印象づけることになったのは残念だ。
中国の北朝鮮国境周辺には、20万から30万とも言われる北朝鮮からの脱出者(脱北者)がいるとされている。
<英語記事:脱北者の実態>
ここ数年、韓国や日本、欧州の非政府組織(NGO)が脱北者の外国公館への駆け込みを積極的に支援しており、亡命をめぐり中国当局と攻防を展開している。
今後も駆け込み事件が頻発する可能性は大きい。
こうした状況を考えると、中国は「国内に北朝鮮難民は存在しない」とする立場を変更し、中国、韓国、日本の3国で、北朝鮮難民への対応について協議すべき時ではないか。
《「中国の北朝鮮難民への対応」に関して英語論説》
北朝鮮との国境に近い瀋陽には、多数の脱北者とそれを取り締まろうとする北朝鮮当局関係者がいると言われ、そのため一種の緊張状態にある。
ところが、日本総領事館には危機意識が希薄だったことを外務省の調査報告書は認めている。
今回の事件は、危機管理体制や職員の意識を含めた在外公館の在り方について、深刻な問題を投げかけたと言える。
[「在外公館の危機管理」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
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