3日、最大7千億ドル(約75兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取ることを柱とする米国の金融安定化法(緊急経済安定化法)が成立した。
<英語にて解説:不良資産>
同日、米下院が賛成多数で可決、それを受けてブッシュ大統領が即日署名した。
当初法案は先月29日に米下院で否決された。
「大もうけしてきたウォール街を巨額の税金で救済する」ことに有権者の反発が強く、11月の選挙を意識した議員らが反対したためだ。
さらに米国には伝統的に、「政府は市場に介入すべきではない」という考え方があり、とりわけ共和党保守派に根強い。
《「政府の市場不介入」に関して英会話/ディベート》
法案の否決でニューヨーク株式市場は、777ドル安の史上最大の下げ幅を記録し、欧州やアジアの株価も軒並み大幅に値崩れした。
〔英会話表現による言い換え〕
このため米政府と議会は法案を修正、預金者保護の拡大や減税策を盛り込み、ようやく成立にこぎつけた。
金融危機の沈静化に向け、一歩前進とはいえるだろう。
当面の問題は、不良資産の買い取りをいかに迅速に実行に移すかである。
ただし、買い取りの実効性を疑問視する声も多い。
金融安定化法の成立で金融危機が収まるのかどうかは依然として不透明だ。
<英会話/ディスカッション:金融危機の沈静化の見通し>
不良資産の買い取り価格をどう決めるか。
買い取り価格が高すぎると、公的資金が膨らみ国民負担増につながる。
買い取り価格が低すぎると、金融機関は損失計上を強いられ自己資本不足に陥る。
そうなれば公的資金による資本注入は避けられないだろう。
[「公的資金の注入」を英会話/ディベートのテーマとして]
米政府は追加対策の検討を急ぐべきだ。
今回の金融危機の発端はサブプライムローン問題である。
<英語論説:サブプライムローン問題>
サブプライムローン(信用力の低い個人を対象とした住宅融資)の債権を証券化した金融商品のバブルが発生し、それがついに崩壊し始めたのだ。
この問題への米政府の対応が後手に回った感は否めない。
先月15日、公的資金の投入を見送った米大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻した。
それが一転、保険最大手AIGについては公的資金による救済に踏み切った。
場当たり的ともいえる対応ぶりだ。
《「場当たり的な対応」について英語表現の工夫》
米国発の金融危機は欧州にも波及し、金融機関の一部国有化などが相次いでいる。
信用不安から、金融機関同士が短期資金の貸し借りを行う市場も世界的にマヒした状態だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
そのため日米欧の中央銀行が協調して、ドル資金を大量に金融市場に供給している。
金融危機の深まりとともに、米国では、雇用が落ち込むなど、実体経済も急速に悪化し始めた。
《「実体経済の悪化」に関して英語記事》
金融機関の損失が拡大して貸し渋りが強まると、経済活動が落ち込み、その結果金融機関の損失がさらにふくらむ。
信用収縮と景気後退の悪循環が進んでいる。
危機の根源である米国住宅価格の下落は依然続いている。
住宅価格が下げ止まらない限り、金融機関は新たな不良債権を抱え込むことになる。
百年に一度とも言われる金融危機が落ち着くまでにはしばらく時間がかかりそうだ。
[「過去の金融危機」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
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