約5千万件の年金納付記録が誰のものか特定できずに宙に浮いている問題で、与党が救済策として提出した「年金時効撤廃特例法案」が30日、衆院厚生労働委員会で与党の賛成多数で可決された。
野党の反対を押し切っての強行採決だった。
[「年金納付」を英会話のトピックとして]
これによって、年金記録の不備による年金額の不足が判明しても請求権の時効(5年)によって泣き寝入りとなっていた受給者が、本来の受給額を受け取れるようになる。
<英語表現の工夫:泣き寝入り>
ただし時効を撤廃しても、保険料を納付したことは本人が証明しなければならないのでは、実質的な救済にはならないだろう。
《「年金時効撤廃特例法の不備」に関して英会話/ディスカッション》
政府は、領収書などの証拠がない場合に年金支給の是非を判断する第三者機関を設置するというが、判断基準すらまとまっていない。
1997年に基礎年金番号制度が導入されたことによって、すべての公的年金の加入記録が一本化され、国民一人に一つの番号が割り当てられることになった。
その際、複数の年金番号を持つ人で申し出なかった人の分が、基礎年金番号に統合されず放置されてきた。
《「基礎年金番号制度」について英語にて解説》
社会保険庁によれば、まだ年金を受給していない人の場合、受給の段階で基礎年金番号に統合されるので問題ないという。
しかし、現在年金を受給中の人が、本来受け取れる額より少ない額を支給されている可能性がある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
年金受給開始後に申し立てによって支給年金額が変更されるケースは、この6年間で約22万件に上ることが明らかになっている。
その上に誰のものか分からない年金記録が5千万件もあり、その中には生年月日が不明のものが30万件あるという。
今後、支給漏れの件数はさらに増えるものと予想される。
<英語記事:年金支給漏れ>
基礎年金番号の制度化から10年もたって膨大な年金記録漏れが判明した。
社保庁には国民から徴収した保険料の記録を保存管理する義務がある。
その無責任ぶりにはあきれるほかない。
[「社保庁の責任」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
背景として社保庁のぬるま湯体質を指摘する声も多い。
政府・与党はこれまで、年金の支給漏れ問題への対応が鈍く、特例法案は当初、今秋の臨時国会に提出する考えだったと言われている。
それがここに来て急きょ救済策を持ち出し、安倍晋三首相自ら今国会への提出を指示した。
〔英会話表現による言い換え〕
特例法案採決に先立って政府は、5千万件に上る該当者不明の年金記録と現在の受給者との照合作業を1年以内に終えるとの方針を発表した。
年金問題が7月の参院選の争点になることを何としてでも回避したいとの思惑があるとみられるが、本当に可能なのか。
《「政府の思惑」について英会話》
できなければ政治責任を問われることになるだろう。
衆院での特例法案の審議は実質4時間だった。
法案は内容、審議ともに不十分で、とても納得のできるものではない。
そもそも政府はどうしてもっと早くこの問題に取り組まなかったのか。
この点を大いに反省してもらいたい。
<英語論説:政府の年金問題への取り組み>
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