厚生労働省の集計によると、アスベスト(石綿)が原因の労災認定者が2004年度は186人(がんの一種である中皮腫が127人、肺がんが59人)に達し、1978年の認定基準制定後、最多となったことがわかった。
《「労災認定」について英会話》
アスベストは「静かな時限爆弾」ともいわれ、空中に飛散した繊維を吸い込んでからがん発症までの潜伏期間が10―50年ときわめて長い。
耐久性や耐熱性に優れ安価であるため、日本では建材などに広く使用され、1970年代から80年代にアスベストの輸入量がピークを迎えた。
[「日本でのアスベスト使用」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
その際被害にあった人が、潜伏期間を経て、発病してきているのだ。
中皮腫による国内の死亡者は、今後40年間に10万人を超えると予測する研究もある。
<英語にて解説:アスベストによる死亡者数>
1960年代から発がんの恐れが報告され、80年には世界保健機関(WHO)が発がん性物質に認定した。
《「アスベストの発がん性」に関して英語論文》
日本では規制が遅れ、発がん性の強い青石綿、茶石綿の使用が禁止されたのは95年になってからのことで、残る白石綿は2004年に原則禁止となった。
一部、代替品がないものには例外として現在も使用が認められている。
欧米では1983年にアイスランドがアスベストの使用を原則禁止にしたのを先駆けに、80〜90年代にかけて使用禁止の動きが広まっていった。
日本でもこのほど厚労省が08年までにアスベストを例外なく全面禁止にする方針を決めたものの、欧米と比べ対応が遅れたことは否めない。
〔英会話表現による言い換え〕
政府は早くからアスベストの危険性を認識していたのに、それを過小評価して規制を先送りし、その結果、従業員や地域住民にとりかえしのつかない被害をもたらしてしまう。
こうした行政の不作為は、過去の水俣病や薬害エイズへの国の対応と重なり合っている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
健康被害は工場の従業員だけでなく、その家族や周辺住民にまで及んでいる。
ここまで深刻化した状況をみれば、国はアスベスト被害を労働災害としてではなく、公害としてとらえ、長期的な総合対策を一刻も早く講じるべきだ。
《「公害としてのアスベスト問題」について英会話/ディベート》
新たなアスベスト被害の発生が懸念されている。
[「新たなアスベスト被害の発生」を英語論説のテーマとして]
アスベストを使用した建物が本格的な建て替えの時期を迎えているが、解体時にアスベストの粉塵が飛散するおそれがあるのだ。
これ以上の健康被害の拡大は何としてでも防がなければならない。
米国では従業員による損害賠償請求訴訟で倒産する企業が相次ぐなか、関連企業や保険会社などが基金を設ける動きがある。
<英語記事:米国におけるアスベストをめぐる動き>
日本でも患者の急増に備えて、アスベストによる健康被害に対応する新しい救済制度をつくる時期だ。
アスベスト対策について、厚労省の事務次官は記者会見で、責任逃れとも受け取られかねない発言をしているのは遺憾だ。
政府には、これまで対策や規制が遅れた落ち度を認めて、何としても国民の健康を守ろうという強い意思を示してもらいたい。
《「政府のアスベスト対策」に関して英会話/ディスカッション》
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