8月末に米南部を襲った超大型ハリケーン「カトリーナ」について、ブッシュ大統領は米国史上最悪の自然災害の一つという認識を示した。
災害規模の大きさと被災者の置かれた惨状を映し出すテレビ画面からは、超大国の陰の部分が垣間見えてきた。
<英語表現の工夫:陰の部分が垣間見える>
泥水に沈んだ被災地の一部が、武装集団による略奪行為や発砲騒ぎなどで無法地帯となった。
《「被災地の無法地帯化」について英会話》
このような事態が世界で最も豊かな国で起こったことに世界中の人々が驚いたにちがいない。
救助活動に当たっていた警官は、中断して取り締まりに向かわなければならなかった。
ハリケーンはまた、米国における貧困の姿も曝け出した。
[「貧困層の被災」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
ハリケーン上陸の2日前に避難命令が出されていたのにもかかわらず、自動車を持たない貧困層や移動の困難な高齢者が濁流の中に取り残され、被害に遭ったのである。
救援活動が遅れたことも信じられないことだ。支援物資が届けられたのは被災して5日たってからだったという。
今でも十分な食料や水を与えられていない被災者が多いという。
米国は日本がお手本にしてきた防災大国である。
1979年に連邦緊急事態管理局(FEMA)を設立し、災害対策などの緊急事態への対応を強化してきたはずだ。
《「FEMA」について英語にて解説》
治水対策も悔やまれる。
ハリケーン通過の翌日、ニューオーリンズでは堤防が随所で決壊し、災害規模が拡大した。
長年、同市は特殊な地形から水害の危険性を指摘されていたが、堤防強化工事は予算不足で実施されてこなかった。
〔英会話表現による言い換え〕
ブッシュ政権は洪水対策費を削減していたという。
イラクへの派兵が、今回の自然災害の被害拡大に影響したとの指摘もある。
<英語論説:イラク派兵の影響>
州兵をイラク戦争に動員していなければ、治安維持のための州兵の出動が遅れることはなかったはずだし、もっと機動的な被災者救援が可能だったのではないか。
テロとの戦いが優先され、災害への備えが後回しにされたというのである。
ブッシュ政権は、救援活動の遅れなど、ハリケーン被害に適切に対応できなかったことについて厳しい批判を浴びている。
《「米政権の対応への批判」について英語記事》
テロとの戦いの長期化に伴い支持率が低下していた同政権が、今後政策変更を余儀なくされることも考えられる。
ハリケーン災害が米経済に与える影響についての懸念もある。
その一つがガソリンの小売価格の上昇だ。
今回の被災地は石油精製施設が集中する地域で、それらの施設の被害が既に高騰していた石油価格に影響を与えそうだ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
アメリカの消費支出の落ち込みにつながりかねない。
日本政府は米国に対し、被災地や被災者への緊急支援の供与を表明している。
今回の米国の惨事に学ぶべき教訓は少なくないはずだ。
台風などの風水害に頻繁に見舞われる日本としては、米国側との情報交換に努め、今後の災害対策に生かしていかなければならない。
<英会話/ディスカッション:日本が学ぶべき教訓>
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