日銀は14日、およそ7年続けてきたゼロ金利政策を解除した。
日本経済の回復が5年目に入り、「異常な政策」とも言われたゼロ金利を必要としなくなったと判断し、9人の政策委員会の全会一致によって決定した。
《「日本経済の動向」について英会話》
消費者物価指数が7カ月連続して前年同月を上回る状態が続くなど、デフレ圧力から脱却が図れるようになった中で、金融政策の正常化に一歩踏み出したことを歓迎したい。
<英語にて解説:デフレ圧力>
企業の設備投資は好調が続き、むしろ過熱が心配されつつあることからも、妥当な判断と言えるだろう。
政府内には、急いで解除する必要はないとする意見もあったようだ。
[「ゼロ金利解除の是非」を英会話/ディベートのテーマとして]
ただ、ゼロ金利政策が解除されたといっても、日本の金利が極めて低い水準にあることには変わりはない。
金利の上昇によって、景気が減速してしまうリスクは小さいのではないだろうか。
とはいえ、中東情勢の緊迫化によって原油価格が高騰し、米国株価も下落している。
《「世界の経済情勢」に関して英語論説》
こうしたタイミングでの金融政策の大きな転換に不安を覚える向きもあるかもしれない。
ゼロ金利政策とは、金融機関同士でお金を融通しあうコール市場の無担保コール翌日物の金利を、日銀が限りなくゼロに近づけるように操作する政策で、1999年2月に始まった。
<英語論文:ゼロ金利政策>
これに基づいて、貸し出し金利や預金金利など、世の中全体の金利が極端に低く抑えられていた。
ゼロ金利政策が、不良債権の処理や企業の回復を可能にしたのは確かである。
02年3月末には40兆円を超えていた銀行の不良債権は06年3月末には13兆円まで減少した。
02年2月から始まった景気回復では、主要企業の多くが過去最高の利益を上げている。
〔英会話表現による言い換え〕
一方、ゼロ金利政策にはマイナス面もあった。
預金金利をはじめ金融商品の利回りが極めて低く抑えられた結果、消費者にとっては巨額の金利収入を失うことになった。
その額は過去13年間で304兆円にもなるという。
また、低金利資金が本来なら淘汰されるべきだった企業を生き残らせることになったという指摘もある。
[「ゼロ金利政策のマイナス面」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
今後の問題は日銀が追加利上げをどうするかである。
それについて日銀は、当面は慎重に進めることを明らかにしている。
《「追加利上げ」について英会話/ディベート》
2000年に日銀はゼロ金利を一度解除したものの、日本経済の回復が腰折れし、6カ月で復活せざるを得なかった。
このときの失敗を繰り返すことは許されない。
今回の利上げが経済に与える影響を入念に検討し、世界経済の動向も見極め、日銀の見通しに沿って景気の回復が順調に続いたとしても、利上げはゆっくりと小刻みに行っていくべきだろう。
福井俊彦総裁の村上ファンドへの投資問題で、日銀に対する信頼性は大きく揺らいでいる。
《「村上ファンド投資問題」に関して英語記事》
失われた信頼を回復するためにも、日銀には金融政策正常化のプロセスを着実に進めてもらいたい。
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