先月25日、兵庫県尼崎市のJR宝塚線(福知山線)のカーブで快速電車が脱線して線路わきのマンションに激突、乗客106人と運転士が死亡する大惨事となった。
<英会話:過去の脱線事故>
原因究明が進むとともに事故の背景が浮き彫りになってきた。
一つには、関西圏での鉄道会社間の熾烈な競争がある。
かつて関西圏は「私鉄王国」と呼ばれたとおり、特に通勤輸送に関しては私鉄の独壇場であった。
《「独壇場」について英語表現の工夫》
そこでJR西日本は1989年、宝塚線を含む大阪近郊路線を「アーバンネットワーク」と名づけ、スピードアップによる所要時間の短縮や直通運転の実施などにより、私鉄に流れている乗客の獲得を目指した。
事故のあった宝塚線の場合、競合する阪急電鉄に対抗して、列車の増発や快速の導入による乗客増を図り、営業成績を挙げてきた。
ダイヤの過密化は避けられない。当然運行スケジュールは秒単位で刻まれ、運転士には定時運行が厳しく要求されることになる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
脱線事故を起こした快速電車は、伊丹駅でオーバーランし、1分半ほどの遅れで発車、制限時速を40キロ近く上回るスピードで事故現場のカーブに進入していった。
定時運行への重圧が、脱線事故の原因と見られる速度超過の背景にあったのではないか。
[「速度超過の背景」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
次に、「日勤教育」と呼ばれる研修制度の存在である。
これは、オーバーランや信号違反といったミスを犯した運転士に対して、再発防止を目的として行われるものだが、「懲罰的」との批判も強い。
《「日勤教育」に関して英会話/ディベート》
直前の駅でミスをした運転士が、日勤教育を恐れて注意をそがれていたことが事故につながった可能性も指摘されている。
JR西日本には日勤教育の改善が求めたい。
そして、宝塚線は新型ATS(自動列車停止装置)が未整備だった。
<英語にて解説:新型ATS>
新型ATSは、列車が制限速度を超過すると、自動的にブレーキをかけて減速させるもので、これが設置されていれば今回の事故を防げたことはJR西日本自身が認めている。
宝塚線に新型ATSの整備が決定したのは03年9月、工事が始まったのは今年1月で、事故当日までに完成していなかった。
JR東日本は首都圏で、新型ATSの設置をほぼ100%完了していたが、JR西日本の「アーバンネットワーク」の整備率は、半分にも達していなかった。
新型ATSの整備費用はJR西日本全体で2000年度は19億円だったが、翌年度から激減していた。
《「新型ATSの整備」について英語論文》
JR西日本が発足して18年、利潤や効率を優先させ、安全軽視と言われても仕方がないような空気が社内になかったかどうか。
その点、行政の不作為責任も問われなければなるまい。
民営化の名のもと国土交通省は、ATSの設置を各鉄道会社の自主性に任せてきたが、人命にかかわる問題だ。
[「安全対策と民営化」を英会話/ディベートのテーマとして]
安全対策については行政指導もためらうことなく、同省が率先すべきであることは言うまでもない。
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