東京都港区の住宅公社のマンションで、高校2年の男子生徒が自転車にまたがってエレベーターを降りようとしていたときに、ドアが開いたまま突然上昇し、生徒は出入り口の天井とエレベーターの床に挟まれて死亡した。
<英会話:エレベーター事故>
製造元が同じエレベーターが各地でトラブルを起こしていたことが判明し、利用者の不安が広がっている。
建築基準法の施行令によれば、エレベーターはドアが完全に閉まらなければ動かない仕組みになっている。
《「エレベーターの仕組み」について英語にて解説》
ドアに付いている安全装置が、閉まったことを感知すると、停止解除の信号を制御盤へ送る。
これによってブレーキが外れてエレベーターが動き出すのである。
今回の事故の原因については2つの可能性が言われている。
1つは、安全装置あるいは制御盤のコンピューターに異常があったのではないかという疑い。
もう1つは、ブレーキがきちんと働いていなかったのではないかという疑いである。
《「エレベーター事故の原因」に関して英語論文》
エレベーターの構造自体に欠陥があったのか。
それとも日ごろの保守点検の仕方に問題があったのか。
警視庁は、製造元のシンドラーエレベータ社と保守管理会社、住宅を管理する区住宅公社などを業務上過失致死容疑で家宅捜索した。
警視庁には、徹底した原因究明と厳しい責任追及を望みたい。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
築8年になるこのマンションでは、住民が閉じ込められるなどの、エレベーターをめぐるトラブルがこの3年間で40回以上も起きていた。
にもかかわらず、公社はことの重大性に気づいていなかったようだ。
今回の死亡事故が起こるまで区当局に報告していなかった。
[「住宅公社の対応」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
危機意識の欠如もはなはだしい。
2年前東京の六本木ヒルズで男児が自動回転ドアに挟まれて死亡した事故では、以前にも子供がけがをするなどの事故が起きていたにもかかわらず、メーカーやビル管理会社が安全対策を怠った。
<英語記事:自動回転ドア事故>
事故発生の兆候を軽視したという点で、今回も構図は同じであるといえるだろう。
それにしてもシンドラー社の態度には理解に苦しむ。
事故のあった公共住宅の住民集会への同席を求める港区の要請を拒み、国土交通省が設置場所の情報提供を求めたのに対しても、当初は拒んだ。
《「シンドラー社の対応」について英会話》
シンドラー社には企業としての説明責任をきちんと果たしてもらいたい。
今回事故を起こしたエレベーターでトラブルが頻発していたという情報が、港区住宅公社とエレベーターの保守会社、シンドラー社の間で十分に共有されていなかったらしいことも驚くべきことだ。
<英会話/ディスカッション:関係者間の情報共有>
現在、安全確保に必要な情報を関係者の間で共有する仕組みが法制上は存在しない。
また、製造者が安全上の欠陥に対して改善の責任を負うリコールのような制度もない。
エレベーターは高層化の進む都市部の生活にとって欠かせない設備である。
安全対策の法的整備を急がねばならない。
[「エレベーターの安全対策」を英語論説のテーマとして]
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