10月31日未明、イラクで武装グループに拉致され、人質になっていた福岡県出身の香田証生さんの遺体がバグダード市内で発見された。
香田さんの両親が中東の衛星テレビ・アルジャジーラに出演し、「命だけは助けてほしい」と懇願したが、家族らの悲痛な祈りもむなしく最悪の結果になってしまった。
<英語表現の工夫:悲痛な祈りもむなしく>
4月に起きた邦人3人の人質事件の際には、犯人たちが地元の宗教指導者らによる説得に応じて人質を解放したが、今回犯行に及んだ組織は、地元宗教関係者でも接触が困難だったようだ。
《「邦人3人の人質事件」に関して英語記事》
再発防止のため政府は、海外渡航情報で最も危険度の高い「退避勧告」を徹底するのは当然のこと、今回の事件を機に邦人保護のあり方を含め危機対応を改めてチェックすべきだ。
[「邦人保護のあり方」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
米英軍の占領後、イラク国内で誘拐された外国人はすでに150人を超えた。
《「イラクでの外国人誘拐」について英語論説》
そのうち解放されたのは60人余りで、約30人が殺害されている。
日本人の犠牲者は、昨年11月の外交官2人、今年5月のジャーナリスト2人、それに今回の香田さんを合わせて5人を数えた。
犯行グループは、イスラム過激派の国際テロリスト、ザルカウィ容疑者が率いる組織とみられている。
彼らはこれまでも外国人多数を人質にとってその国の政府を脅迫し、要求が受け入れられないと殺害を繰り返してきた。
米国は同組織を外国テロ組織に指定し、ザルカウィ容疑者には、国際テロ組織の指導者ビンラディンと並ぶ最高額の2500万ドルの懸賞金をかけている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
彼らの目的は、軍隊を派遣している各国政府を脅して国際社会の支援を断ち、イラクの復興を妨げることと考えられる。
来年1月には国民議会選挙が予定されている。
<英語にて解説:イラクの政治日程>
武装勢力による、民主化阻止の動きは、今後ますます活発化するだろう。
日本人の誘拐事件として初めて犠牲者が出た今回の事件では、日本も国際社会のテロとの戦いの戦列に連なっており、イスラム過激派が日本を敵視しているという現実が改めて浮き彫りになった。
〔英会話表現による言い換え〕
犯行グループは日本政府に対し、48時間以内に自衛隊を撤退するよう要求してきたが、小泉純一郎首相は即座に拒否する考えを表明した。
一部には、これによって犯人たちが交渉の余地はないと考えたのではないかとの批判もあるが、テロの脅迫に応じることはできない。
[「首相の対応」を英会話/ディベートのテーマとして]やむを得ない決断だった。
イラク特措法に基づいた自衛隊の派遣期限は12月14日に切れる。
《「自衛隊のイラク派遣」について英会話》
自衛隊が駐留するサマワでは4月と8月、および先月22日に宿営地内とその近くにロケット砲弾などが着弾している。
サマワの治安を担当するオランダ軍は来年3月に撤退する方針だ。
非戦闘地域で比較的安全とされるサマワにも、着実に危険が迫っている。
政府は派遣延長について、自衛隊の復興支援活動の安全を確保できるのか、冷静に検討した上で判断しなければならない。
<英会話/ディスカッション:自衛隊の派遣延長>
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