パキスタンのムシャラフ大統領は18日、連立与党が大統領弾劾の圧力を強める中、テレビ演説で辞任を表明した。
ムシャラフ氏は決断の理由について「議会との対立による国政の混乱を回避するため」と説明した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ムシャラフ氏は99年10月、陸軍参謀長として当時のシャリフ首相に対するクーデターを主導して権力を掌握、01年6月に大統領に就任した。
<英語論説:パキスタンの軍政>
同年9月の米同時テロ後には、国内に潜伏する国際テロ組織アルカイダやイスラム原理主義勢力タリバンに対する武力掃討に本格的に乗り出した。
こうした強硬路線への転換を米政府は高く評価したが、パキスタン国内では過激派の先鋭化とテロの頻発を招き、テロとの戦いでの米国への協力に対して、イスラム教徒が9割以上を占める国民の多くが反発した。
《「対テロ戦での米国との共闘」について英会話》
ムシャラフ政権下でパキスタンの経済は大きく成長した。
外資の積極導入などの経済政策が功を奏し、対テロ戦への協力の見返りに米国から巨額の援助を得て、国内総生産の伸びは年平均7%を記録した。
05年にパキスタンは、BRICsに続く期待の新興国「ネクスト・イレブン」の1つに選ばれた。
<英語にて解説:BRICs>
ムシャラフ氏は昨年以降、強引な政治手法が目立っていた。
3月、大統領と対立していた最高裁判所長官を停職処分にし、11月には法曹界の政治介入を理由に非常事態を宣言した。
《「最高裁長官の処分」について英語記事》
7月に首都イスラマバードで起きたモスクでの神学生立てこもり事件では、強行突入策で多数の死者を出した。
相次ぐ強権政治に民主化勢力は反発を強め、今年2月の総選挙では大統領派の政党が惨敗した。
《「強権政治による民心の離反」に関して英会話/ディスカッション》
権力基盤だった軍も、国民の支持を優先して大統領と距離をとり始め、今月初め、連立与党のパキスタン人民党とパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派が大統領弾劾で合意した。
大統領の辞任で国政のかじ取りを担うことになる連立政権は対テロ対策で揺れている。
3月の政権発足後、国民の間に募る反米感情を背景に、イスラム過激派との対話路線を打ち出したが、テロが収まる気配はない。
米国の圧力により、北西部で軍事作戦に乗り出したものの、武装組織との全面対決には程遠い。
[「治安の空白への不安」を英会話のトピックとして]
連立政権は経済政策でも後手に回っている。
<英語表現の工夫:後手に回る>
パキスタンの経済は、原油高でインフレ率が20%を超える勢いで上昇し、貿易赤字の増大で外資準備高が急減するなど、厳しさを増しており、連立政権は経済の立て直しでも早急な対応を求められている。
米国は01年の同時テロ以降、親米政権のパキスタンをテロとの戦いの最前線と位置付けてきた。
米政府は18日、ムシャラフ大統領辞任後の新体制に対テロ戦争での連携継続への期待を表明した。
ただ、現在の連立政権が信頼できるパートナーになれるかは疑問が残り、米国が戦略の再構築を迫られる可能性もある。
[「米の対テロ戦略への影響」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
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