町村信孝官房長官は30日の記者会見で、中国・四川大地震の被災者支援のため検討していた自衛隊機による救援物資の輸送について「今回は自衛隊機派遣を行うことはない。民間のチャーター機で輸送する」と述べ、見送りを正式に表明した。
<英語にて解説:四川大地震の被災状況>
理由に関しては「中国国内に慎重論が出始めていることを考慮した」と説明した。
中国政府は27日、北京の日本大使館にテントや毛布、医薬品などの救援物資の支援を要請。
この際、日本が輸送手段として自衛隊機を活用できる可能性を聞くと、中国側は選択肢として排除しないと回答した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
これを受け、政府は自衛隊機派遣の検討に入った。
日本政府が派遣の検討に着手したのは、中国側の要望に即応するには機動性に優れた自衛隊機を使うのが最善と判断したためだが、別の思惑もあった。
自衛隊機が支援に携わる姿を見てもらえれば、根強い反日感情も少しは和らぐとの期待感である。
[「日本側の政治的思惑」を英会話/ディベートのテーマとして]
一方、被災地では避難生活を送る人たちのテントや仮設住宅の不足が深刻化。
被災者は4千5百万人を超えるが、調達できたテントは約60万張りにとどまる。
被災者の不満の矛先は政府に向き始めており、中国政府は外国への支援要請を強めていた。
《「救援の遅れへの批判」に関して英語記事》
日本政府は派遣実現に向け、中国側と地ならしを進めていたが、28日昼過ぎ、日中で正式に合意する前に派遣検討の動きが日本のメディアに漏れ、中国ではインターネット上に容認論も出たものの、反対論の書き込みが殺到した。
<英語表現の工夫:地ならし>
町村官房長官は同日午後の記者会見で、「中国側から自衛隊によるものも含めて支援要請があった。政府内で検討している」と自衛隊機の派遣検討の表明に踏み切った。
中国政府が要請の事実を伏せている段階で、日本側から公表するという異例の形となった。
[「日本発の情報の先走り」を英会話のトピックとして]
29日、北京での外務省アジア大洋州局長と中国外務次官との会談で、中国は日本側からの自衛隊機派遣案の「自発的な取り下げ」を求めた。
《「中国側の風向きの変化」について英会話/ディスカッション》
両国の折衝は同日深夜まで続いたが、最終的には中国側の希望に沿う形で日本から自衛隊機派遣の見送りを切り出した。
地震発生以来、日本が被災地に派遣した国際緊急援助隊の救助チームや医療チームは中国内で大きく報道され、新華社通信が絶賛するなど評価は高く、国民レベルでも好意的にとらえられている。
〔英会話表現による言い換え〕
胡錦濤国家主席の訪日との相乗効果で中国国民の対日感情は好転しつつあった。
自衛隊機の中国派遣見送りは、両国政府が予想以上に反発の声が高まった中国世論への配慮を優先させた結果だ。
<英会話/ディスカッション:中国の政策決定における世論の影響力>
背景には、過去の歴史に絡む中国における「自衛隊アレルギー」がある。
日中戦争の記憶は、愛国主義教育の重点分野として若い世代に引き継がれている。
日中関係の改善に両国を隔てる「歴史」の壁が立ちはだかる現実が改めて浮き彫りになったといえる。
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