企業の工場排煙や自動車の排ガスによる複合汚染で健康を害したとして、名古屋市南部や愛知県東海市の公害病認定患者と遺族ら145人が国と企業10社を相手取り、計約42億円の損害賠償や汚染物質の排出差し止めを求めた「第一次名古屋南部大気汚染公害訴訟」の判決が27日午前、名古屋地裁で言い渡された。
[「工場排煙や排ガスによる大気汚染」を英会話のトピックとして]
判決は、「1972年の国道23号開通以降、自動車排ガスによる局所的な汚染は沿道住民の気管支喘息を発症、悪化させた」として、排ガスに含まれる浮遊粒子状物質(SPM)と健康被害との因果関係を認定し、国道を管理する国に計約千8百万円の支払いを命じた。
《「浮遊粒子状物質」について英語にて解説》
さらに、国道での一定濃度を上回るSPMの排出差し止めを命じた。
また、被告企業に対しては、61年から78年までの間、二酸化硫黄(SO2)を中心とした工場排煙による大気汚染が健康被害に及ぼした影響を指摘し、計約2億9千万円の連帯支払いを命じた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
工場排煙による汚染については、72年の四日市公害訴訟判決(確定)で企業の責任が認定されたのを機に、企業側が和解に応じる形で決着する流れが定着した。
《「主な大気汚染訴訟」に関して英語論説》
一方、70年代以降に深刻化した排ガス汚染を巡っては、91年の西淀川訴訟(一次)と94年の川崎訴訟(一次)の両判決が国の責任を否定した。
しかし、95年の西淀川訴訟(二〜四次)判決以降、98年の川崎訴訟(二〜四次)、今年1月の尼崎訴訟と、国の責任を認める司法判断が続いている。
背景には、排ガス中の主要な汚染物質の人体への有害性を示す種々の疫学調査が進んでいることがある。
<英語論文:排ガス汚染と健康被害の因果関係>
尼崎訴訟判決では排ガス中に含まれる汚染物質の排出差し止めを初めて命じた。
今もなお大都市圏を中心にSPMなどの高濃度汚染が続きながら、十分な対策がとられていない現状を踏まえたもので、この日の判決は排出差し止め請求を認める司法判断の流れが定着しつつあることを示した。
[「差し止めと公共性」を英会話/ディベートのテーマとして]
工場排煙による汚染が厳しい規制によって大幅に改善されたのに対し、排ガス汚染は「依然として深刻な状況」だ。
《「深刻な排ガス汚染」について英会話》
環境庁によると、東京・大阪周辺の自動車排ガス測定局で、98年度にSPMの環境基準の達成率は12.4%に過ぎなかった。
今年度も同程度の数字になる見込みだという。
排ガス中の汚染物質のうち窒素酸化物(NOx)規制が先行した日本でSPMの規制が本格化したのは93年からで、欧州や米国に大きく立ち遅れている。
<英語記事:SPM規制が遅れた背景>
世界保健機構(WHO)が80年代に認めたSPMの発がん性を国が正式に認めたのも今年に入ってからだ。
こうした現状に対し、政府の中央環境審議会は「自動車NOx法」の規制対象にSPMも加えるよう答申。
また、東京都も「ディーゼル車NO作戦」を展開、NOx、SPMとも排出量の多いディーゼル車を中心に除去フィルターの装着を義務づけるなどの独自規制を進める方針だ。
[「自動車公害対策」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
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