9日、前日の小柴昌俊・東大名誉教授(76)のノーベル物理学賞に続き、島津製作所研究員の田中耕一氏(43)にノーベル化学賞が贈られることになった。
小柴教授の物理学賞は久しくノーベル賞候補と言われ続けた後の受賞だったが、田中氏の受賞は、下馬評にも上がっておらず、本人も全く予想していなかった。
《「下馬評に上がる」について英語表現の工夫》
同じ年に日本から2人のノーベル賞受賞者が出たのは初めてのことで、米国以外では、欧州の先進国でもめったにない快挙である。
2000年になってから3年で4人というノーベル賞ラッシュは、日本の基礎科学力の水準の高さを示すものといえる。
[「日本人のノーベル賞ラッシュ」を英会話のトピックとして]
田中氏の受賞は異例づくめである。
43歳という若さだけではない。
田中氏は、大学や高等研究機関ではなく、企業で研究開発に従事するエンジニアだ。
<英会話/ディスカッション:企業研究者の受賞>
欧米の大企業が設立している基礎研究所からは何人もノーベル賞受賞者が出ているが、企業における研究開発が盛んな日本では例がなかった。
小柴教授の物理学賞受賞は、宇宙から降り注ぐニュートリノと呼ばれる素粒子を検出した功績が認められたものだ。
《「ニュートリノ」について英語にて解説》
小柴教授らは岐阜県の神岡鉱山に巨大な水タンクを据え付け、高速のニュートリノがタンク内の水中を通過する際に発するかすかな光を、光電子増倍管というセンサーでとらえる「カミオカンデ」という装置を完成させた。
1987年、マゼラン星雲で起きた超新星爆発によって膨大な数のニュートリノが放出されたが、そのとき地球に飛来したニュートリノの痕跡をとらえることに成功し、そのことがニュートリノ天文学という新しい学問分野の誕生につながった。
<英語記事:ニュートリノ天文学の誕生>
今では、カミオカンデの後継装置である「スーパーカミオカンデ」を利用した研究によって、小柴教授の後進の研究者がニュートリノに質量があることを確認するなど、世界的な研究成果が相次いで上げられている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
田中氏の受賞対象となったのは、たんぱく質など生体高分子の質量測定方法を独自に開発した業績である。
90年代に人間の遺伝情報をもつゲノムの解析が急速に進み、次の段階として、ゲノム情報から体内で作られるたんぱく質の解析研究が今盛んに行われている。
《「ゲノム解析の進展」に関して英語論説》
たんぱく質の構造と機能が明らかになれば、画期的な治療薬が生まれると世界中が取り組んでいる。
そこで計測技術は決定的な役割を果たすのだが、従来の質量分析機では、たんぱく質のような大きくて壊れやすい分子の重さを測定できなかった。
たんぱく質にレーザーを当てることを思いついた田中氏は「ソフトレーザー脱着法」という手法を生み出し、そのおかげで高分子用質量分析機ができた。
[「田中氏の着想」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
日本政府は「科学技術立国」を目指し、科学技術基本計画の中で「ノーベル賞の受賞者数を今後50年で30人輩出する」との目標を掲げている。
《「政府の科学技術基本計画」に関して英会話/ディベート》
そのためには基礎研究の整備と充実が欠かせない。
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