26日の参議院本会議で、自民党など与党3党は、イラクに自衛隊を派遣するための「イラク復興支援特別措置法」を、民主党など野党4党の反対を押し切って成立させた。
1992年の国際平和協力法(PKO協力法)や01年のテロ対策特別措置法に続く安全保障政策の転換となる。
《「テロ特措法の概要」に関して英語記事》
イラク特措法は、自衛隊によるイラク人への「人道復興支援活動」と治安維持に当たる米英軍などへの「安全確保支援活動」を行うことを目的としたもので、4年間の時限立法である。
自衛隊の活動地域については「非戦闘地域」に、武器使用については正当防衛や緊急避難の場合に限定している。
[「武器の使用基準」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
これまでの自衛隊の海外派遣はPKO協力法に基づいて行われたが、これは停戦合意の成立や受け入れ国の同意の存在などを要件としていた。
<英語にて解説:PKO協力法による自衛隊の海外派遣>
現在のイラクには国民を代表する政府が存在しないため、PKO協力法の下ではイラクに自衛隊を派遣できないことから、イラク特措法の制定となった。
今回の特措法の成立を受けて、政府はイラクを占領統治する連合国暫定当局(CPA)との調整のため自衛隊の先遣隊を派遣し、さらに8月中旬に専門調査団を送る。
その報告を踏まえ、9月初めにも自衛隊の活動内容・期間・地域などを定めた基本計画を策定する予定だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今国会では6月に、他国からの武力攻撃への対処に関する基本理念や手続きを定めた有事関連3法が成立している。
秋の臨時国会で政府は、テロ特措法の期限を延長するための改正案の成立を目指している。
さらに、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の制定の検討を始めることも明らかにしている。
《「恒久法の制定」について英会話/ディベート》
イラク特措法が自衛隊の活動を「非戦闘地域」に限定していることについて、野党からは「戦闘地域と非戦闘地域との明確な線引きは不可能ではないか」との批判が出ていた。
<英会話/ディスカッション:非戦闘地域という概念>
説明に窮した首相は「どこが非戦闘地域か、私に聞かれたって分かるわけがない」と開き直った。
戦闘継続中の米英軍の武器弾薬や兵員の輸送は、「米英軍の武力行使と一体化した行為」となる恐れがあること、また、自衛隊派遣について国会の関与が事前承認ではなく事後承認となっていることに対しても批判の声があったが、政府与党は耳を貸さなかった。
《「武力行使との一体化」に関して英語論説》
米国ブッシュ政権は現在、イラク戦争について「主要な戦闘は終結」してはいるものの、「いまだ戦争状態」にあるとの認識だ。
[「戦争状態にあるイラクの現実」を英会話のトピックとして]
米英軍による軍事占領下、前フセイン政権の残存勢力に対する掃討作戦が各地で継続中であり、5月1日の戦闘終結宣言以来、米兵の死亡者は50人を超えている。
現状を見れば、自衛隊にも死傷者が出る恐れがある。
逆に自衛隊がイラク国民に武力行使をせざるをえない事態が生じる可能性もある。
〔英会話表現による言い換え〕
今なおゲリラ戦が続くイラクにはそうした現実があることを忘れてはならないだろう。
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