8月8日に開幕する北京オリンピックの聖火リレーが、欧米各地で妨害行為を受けた。
チベット問題に対する中国の対応への抗議活動である。
4年に1度の「平和の祭典」を盛り上げるはずの一大イベントが、中国批判の格好の場として政治的に利用された。
<英語表現の工夫:格好の場>
6日に聖火リレーが行われたロンドンでは、在英や欧州のチベット人や人権団体などが抗議デモを行い、少なくとも36人が拘束された。
中には、聖火を奪い取ろうとしたり、消火器で聖火を消そうとしたりする抗議者もいた。
《「聖火リレーの妨害行為」について英会話》
7日のパリや9日のサンフランシスコでも、リレーの途中打ち切り、コースの全面的変更・短縮を余儀なくされた。
チベット問題は、1950年に中国が「チベットは中国領土」と宣言し、人民解放軍をチベットに進駐させたことに始まる。
<英語にて解説:チベット問題の歴史>
これに対しチベット族側は抵抗運動を展開し、59年3月には「チベット動乱」が発生したが、解放軍に鎮圧された。
このときチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世はインドに逃れ、同国北部ダラムサラに亡命政府を樹立した。
65年、中国政府はチベット自治区を成立させたが、その後も独立運動が頻発し、89年の騒乱の際には、区都ラサに戒厳令が敷かれた。
同年、ダライ・ラマは非暴力を貫く活動が認められ、ノーベル平和賞を受賞した。
[「ダライ・ラマの活動」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
漢民族の支配に対する反発はくすぶり続け、今年3月14日、独立を求めるラサのラマ僧や市民による大規模デモが起こり、チベット自治区周辺の青海・四川・甘粛の各省にあるチベット族居住地域にも波及、武装警察との衝突で多数の死傷者や逮捕者が出た。
《「ラサでの暴動」について英語記事》
聖火リレーの妨害に対して中国政府は、チベット独立派の行動と非難し、ダライ・ラマとの対決姿勢を改めて明確にした。
ラサで3月に起きた暴動も「ダライ・ラマ集団の組織的策動」と決めつけた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
チベットやウイグルなどの少数民族に対する強圧的な政策に国際的な批判が高まるのは避けられまい。
《「中国の少数民族政策」に関して英語論説》
中国側にも、強硬姿勢一辺倒では国際社会から孤立しかねないとの危機感が広がっているが、長年敵対してきたダライ・ラマ側との妥協は難しく、五輪本番が近づく中、打開策を見出せず手詰まりの状態だ。
今回の聖火リレー妨害で見られたような暴力的な抗議行動によって多くの人々の共感を得ることは難しい。
〔英会話表現による言い換え〕
デモ参加者には自制を求めたい。
一方中国政府は、激しい抗議の背景として、欧米諸国などでチベット暴動弾圧を批判する世論が強まっている現実を直視しなければならない。
五輪聖火リレーが世界5大陸を巡るようになったのは、4年前のアテネ大会からである。
国際オリンピック委員会(IOC)の古参の委員からは聖火リレーの見直しを促す声も出始めている。
《「聖火リレーのルートの見直し」について英会話》
この際、ギリシャのオリンピアで採火して開催国にまっすぐ運ぶ従来の形に戻すことをIOCは真剣に検討すべきではないか。
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