29日の参議院本会議で、米英軍を中心とする軍事行動を支援するためのテロ対策特別措置法が成立した。
9月11日に米国で起こった同時多発テロに対応する限定的な内容であり、2年間の時限立法である。
テロ特措法によって初めて自衛隊を海外の戦闘地域周辺へ派遣することが可能になる。
《「テロ特措法成立の意義」について英会話/ディスカッション》
戦後日本の安全保障政策は重大な転機を迎えることになった。
テロ特措法成立を受けて政府は、アフガニスタンの隣国パキスタンなどに調査団を送った上で、自衛隊の派遣地域や期間、活動内容などを定める「基本計画」を策定し、11月中に米英軍などの艦船への補給活動を目的に、海上自衛隊の艦艇をインド洋に派遣するという。
[「海自のインド洋派遣」を英会話/ディベートのテーマとして]
法案の国会提出から成立までわずか3週間余り、約60時間というスピード審議だった。
〔英会話表現による言い換え〕
「同盟国米国の要請に応え、実効ある米軍支援を行うため一日も早い法整備の実現を」という政府のかけ声の下、野党第1党の民主党も審議促進に協力的な姿勢を見せた結果だ。
テロ特措法に至る議論は、1991年の湾岸戦争での対応への反省から始まった。
《「湾岸戦争の経緯」について英語にて解説》
90年にイラクが産油国クウェートに侵攻すると、この地域の原油に多くを依存する世界経済の混乱を防ぐために、国連決議に基づき米英軍を中心とする多国籍軍によるイラク攻撃が行われた。
日本政府は多国籍軍を後方支援するため国連平和協力法案を国会に提出したが、「憲法9条に抵触する」などと野党が反対し廃案となった。
結局130億の財政支援をしたが、「目に見える貢献」をしなかったため、国際社会から評価されなかった。
[「目に見える貢献」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
92年には国連平和維持活動(PKO)や人道的な国際救援活動に協力するためにPKO協力法が成立し、陸上自衛隊がカンボジアに派遣された。
<英語記事:PKO協力法による陸自のカンボジア派遣>
94年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発疑惑で朝鮮半島情勢が緊迫し、99年には周辺事態法が成立した。
テロ特措法では、同意を得た上で外国の領域でも自衛隊による米軍などに対する後方支援が可能だ。
周辺事態法は、自衛隊の活動範囲を日本の領域と周辺の公海上に限定しており、そこから一歩踏み出す結果となる。
《「自衛隊の活動範囲の拡大」に関して英会話/ディベート》
現行の憲法解釈では集団的自衛権の行使は認めていないことから「武力行使と一体化した後方支援はできない」との原則は従来と変わらない。
その制約から生じる矛盾を指摘する声もある。
例えば、自衛隊は戦闘による不明兵士の捜索救助活動を行うが、それは「非戦闘地域」に限定される。
しかし非戦闘地域でそのような状況は想定しにくい。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
自衛隊派遣に際して、派遣命令後20日以内に国会に承認を求めるよう規定している。
文民統制の原則を貫く立場から、基本計画の国会での事前承認が盛られなかったことはテロ特措法の欠陥だと批判する向きもある。
<英語論説:テロ特措法の問題点>
それだけに政府には基本計画の策定に慎重な態度で臨むことが求められる。
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