中級◇問題(1)
次の英文を日本語にしてください.科学技術と人間の幸福について述べた文章からの一文です.
[STEP-4] 解説を読んで読み方のコツをつかみましょう.
I am not arguing for the mindless pursuit of scientific change; I am arguing against a mindless opposition to it.
1. 名詞を中心とする硬質な英語の表現を日本語の表現の発想に転換する技術を知っておくことは英文をすっきりと理解するのにとても役に立ちます.
the mindless pursuit of scientific change
このフレーズは pursuit という名詞を中心に構成されています.
これを直訳して「科学による変化の無思慮な追求」とするよりも、もっとはっきりとした意味をつかむためにはどうしたらいいのでしょうか.
ポイントの1つは pursuit (追求)という名詞の読み方です.
この名詞は pursue (追い求める)という動詞から派生したものなのでそれに戻します.
それに伴い mindless という形容詞を mindlessly という副詞に転換して意味を考えます.
すると「無思慮に追い求めること」となります.
それでは何を追い求めるのか.
もう1つのポイントが of scientific change の of です.
of には「…を[に]」という意味を表す用法があります.
つまりここでの of は scientific change が pursuit の意味の上での目的語であることを示しているのです.
これで次のような明確な日本語を得ることができます.
−何も考えずに科学による変化を追い求めること
a mindless opposition to it
このフレーズは opposition という名詞を中心に構成されています.
これも単に「それに対する無思慮な反対」とするのではなく,わかりやすく解きほぐしてみましょう.
opposition (反対)という名詞をその元になっている oppose (反対する)という動詞に戻します.
oppose には<be opposed to>(…に反対である)という使い方があるので、後の to it とつながりますね.
これで「それに反対すること」という意味がつかめます.
mindless については上と同じように副詞に転換して考えます.
−何も考えずにそれに反対すること
ちなみに,このような名詞中心の表現を「名詞構文」と呼ぶことがあります.
"名詞構文,品詞転換で解きほぐせ"
2. 文全体の構成ですが,これは<not A but B>(A でなくて B)の but の代わりにセミコロン(;)が用いられている例です.
[解答例]
私は科学による変化を見境なく[やみくもに]追求することに賛成しているのではなく,
よく考えもせずにそれに反対することに異議を唱えているのである.
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